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大渕希郷「動物ふしぎ観察記」

スズメバチに刺された悲劇の夜…秋は攻撃性が増すので要注意!

世界初の「どうぶつ科学コミュニケーター」として、講演活動やフィールドワーク、執筆活動など幅広く活動中の大渕希郷さん(通称・ぶっちー)。
動物まみれのめまぐるしくも愉快な日常とは……!?  
生き物の知られざる生態についても、自筆のイラストとともに分かりやすく解説します。
動物の専門家によるお仕事&科学エッセイです。

前回は「トカゲの尻尾切り」についての解説でした。
今回は、ぶっちーさんがジャングルの奥地でスズメバチに刺された恐怖の体験をレポートします。

私はこれまでの人生で2回、ハチに刺されたことがあります。

動物を扱う仕事をしていると、噛まれたりひっかかれたりということは少なからずありますが、そんな私でも、やっぱりハチに刺された体験は強烈でした。

1回目は、大学教員としてボノボの調査に訪れたコンゴ民主共和国で。ボノボの話は機会があればいずれまた。
その調査で、背丈ほどの草が生い茂る道なき道を、進んでいたときのことでした。
先頭をゆく現地の案内人が刃物を左右に振って草を刈り進む後に私が続くと、二の腕あたりに激痛が!
「バチンッ」と音がしたような気がするほど強烈な痛みでした。

コンゴのうっそうとした熱帯森。ボノボを探して入った森でハチとも出会ってしまった。
コンゴのうっそうとした熱帯森。ボノボを探して入った森でハチとも出会ってしまった。

「まさか毒ヘビに咬まれた……?」
しばらくして、案内人から「ハチの巣を見つけた! これだ」と声が。「ヘビでなくてよかったね!」的な笑顔の報告に、少しイラっとしましたが、緊急性はなさそうだとホッとしました。彼とは仲良しです、念のため(笑)。
どうやら、ハチの巣がある草を先頭の案内人が刈ってしまい、警戒態勢となったハチのそばを私が横切ることになり、刺されたようです。
詳しいハチの種類は確認できず不安もありましたが、幸い、2、3日で腫れと痛みがひきました。

多くは昼行性だが、夜に活動するハチもいる!

2回目は、ある保全団体に誘われて、プランテーション開発が進むマレーシアのボルネオ島を訪れた際。

ジャングル泊の夜、お酒と夕飯をいただいているとメンバーから「大渕さん、ボルネオ島には夜も活動するヤミスズメバチがいるから気を付けてね」と。
ヤミとは「闇」のこと。
実は多くのハチ類は昼行性。ですから、日本でハチを駆除する際は、夜間巣に戻って休んでいるところを一網打尽にするわけですね。
ところが暗闇で活動できるスズメバチがここにはいるというのです!

なんだ、そのRPGに出てきそうな名前のハチは! と思いつつも、刺されてアナフィラキシーショックが起きたら怖いなと夕飯後に自室へ。

……いるやん……思いっきり私の蚊帳の中に、ヤミスズメバチがいるやん……。

2cmくらいの全身オレンジのハチ……特徴がぴったり合う。
酔いは一瞬で覚め、なんとかハチを追い出して床に就きました。

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大渕希郷

おおぶち・まさと●どうぶつ科学コミュニケーター
1982年神戸市生まれ。京都大学大学院博士課程動物学専攻、単位取得退学。その後、上野動物園・飼育展示スタッフ、日本科学未来館:科学コミュニケーター、京都大学野生動物研究センター・特定助教(日本モンキーセンター・学芸員 兼任)を経て、2018年1月に独立。生物にまつわる社会問題を科学分野と市民をつなげて解決に導く「どうぶつ科学コミュニケーター」として活動中。
夢は、今までにない科学的な動物園を造ること。特技はトカゲ釣り。
著書に『新ポケット版 学研の図鑑絶滅危機動物』『新ポケット版 学研の図鑑 爬虫類・両生類』(いずれも学研教育出版)、『絶滅危惧種 救出裁判ファイル』『動物進化ミステリーファイル』(いずれも実業之日本社)、『どうぶつ恋愛図鑑』『へんななまえのいきもの事典』(いずれも東京書店)など。最近は、「こども環境地球儀ハトホル」(渡辺教材教具)など教材開発にも関わる。愛称はぶっちー。
公式ホームページ: http://m-ohbuchi.com/

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