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佐藤誠二朗「グリズリー世代のバック・トゥ・ザ・ストリート」
グリズリー……それは北アメリカ北部に生息する大きな灰色のヒグマの名であると同時に、白髪交じりの頭を形容するスラング。頭にちらほら白いものが目立ち始める40~50代を、アラフォー、アラフィフといってしまえば簡単だけど、いくつになってもオシャレと音楽が大好きで遊び心を忘れない彼らを「グリズリー世代」と名付けよう――
そんな思いを胸に、自身もグリズリー世代真っ只中の著者がおくる、大人の男のためのファッション&カルチャーコラム。

衣装ケースの賑やかしとなっている自主規制バンドTシャツ

持っているTシャツの8割はバンドTシャツだ。前にもこのコラムで書いたことがあるが、僕はバンドTをよく購入する。

もちろん、ただ好きだからというのが一番の理由だが、マイナーなバンドへの支援という意味もある。
マイナーなバンドにとって、ライブのチケットや音源の販売で得られる金額は微々たるもので、ライブでの物販が貴重な収入源となる。バンドを応援する姿勢を示すためには、グッズを買うのが一番なのだ。

バンドTシャツはどんどん増殖していく。
多くは日常的に着ているが、買ってはみたもののほとんど袖を通すことなく、衣装ケースの中で眠っているものもある。
今回はその中から6点、事情とともにご紹介したい。


名古屋の重鎮パンクバンド、the原爆オナニーズのTシャツ。リスペクトしていて大好きなんですけど……。バンド名だから仕方がないし、デザイン的に処理されているとはいえ“THE GENBAKU ONNANIES”ってデカデカと書いてあるとやっぱりねえ。


大江慎也を除いた元ルースターズのメンバーによるバンド、ロックンロールジプシーズのアルバムタイトルをプリントしたTシャツ。「FUCK」の文字も気になるし、英語圏の人が見たら文字通り、「誰がオンドリだって?」としか見えないからね。

個人的には好きでも、社会的に着れない事情があるのだ


グラインドコアの創始者であるイギリスのバンド、ナパームデスのTシャツ。カバーしたデッド・ケネディーズの曲「NAZI PUNKS FUCK OFF」をモチーフにしたデザインで、ヒトラー風の人物や鉤十字などのデザインがかなり強烈。


70年代前半から活動するアヴァンギャルドなバンド、ザ・レジデンツのTシャツ。メンバーは素顔を見せることはなく、タキシードに目玉のマスクをかぶってステージに立つことで有名。バニーガール風の艶かしい女性の体に目玉の顔をあしらった柄。悪くないと思って普通に着ていたら、「気持ち悪い」と妻に禁止された。


ライブを観たわけではないけど、1982年におこなわれたザ・クラッシュの伝説的な日本公演をモチーフにしたTシャツ。かっこいいーと思って割と最近買ったものの、“団結”の文字、ジョー・ストラマーのアップの顔、ピンクのボディ、すべてが熱すぎて、着ているといらん注目をされてしまう。


日本を代表するハードコアパンクバンド、ガーゼのTシャツ。これはさすがにモザイクなしではお見せできないが、全面に死体の写真がプリントされている。一般の人の前で着ることは許されないハードさで、唯一許されるのはガーゼのライブ会場。同じTシャツの人を見ることも多い。

自主規制Tシャツはほかにもまだまだあるが、今回はこのへんで。

どのバンドも本当に好きだし、デザインも個人的には悪くないと思っている。でも社会の一員として穏やかに生きていくためには仕方がないのだ。

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佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『糖質制限の真実』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『STUSSY2017 FALL/HOLIDAY COLLECTION』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

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