よみタイ

佐藤誠二朗「グリズリー世代のバック・トゥ・ザ・ストリート」
グリズリー……それは北アメリカ北部に生息する大きな灰色のヒグマの名であると同時に、白髪交じりの頭を形容するスラング。頭にちらほら白いものが目立ち始める40~50代を、アラフォー、アラフィフといってしまえば簡単だけど、いくつになってもオシャレと音楽が大好きで遊び心を忘れない彼らを「グリズリー世代」と名付けよう――
そんな思いを胸に、自身もグリズリー世代真っ只中の著者がおくる、大人の男のためのファッション&カルチャーコラム。

何の変哲もないコンビニの黒いニットキャップが結局一番おしゃれ説

前にも本コラムで書いたのだが、僕は頭蓋骨の外周が大きく、おでこから頭頂部にかけてが丸い、いわゆる“鉢”が大きな頭を持っている。
この頭型だと、似合わないのがニットキャップだ。
頭の形が丸わかりになるニットキャップをかぶると、普段は髪の毛でごまかしている鉢のデカさが際立ち、不格好この上ない。

長年の経験からそのことは十分わかっているので、みずから積極的にニットキャップをかぶることはない。でも、探せば2〜3個は持っているはずだ。
いずれも極寒のスキー場で、頭が冷たくて死にそうだったのでやむなく買ったもの。街中でかぶるには派手だし、第一、やっぱりぜんぜん似合わなかった。
「もう二度と見たくないわ」と、スキー場から帰ったとたんに家のどこかへ仕舞い込んで忘れてしまったので、どこにあるかもよく分からない。

ニットキャップについてはそんな苦い思い出しかないんだけど、最近、もしかしたらこれならいけるんじゃない? と思った物件がある。
コンビニで売っている、ごくシンプルな黒いニットキャップだ。

今までかぶったニットキャップの中では、一番“あり”のような気がしないでもない

真冬になると東京のコンビニでも、レジ近くの棚で手袋、ネックウォーマー、ニットキャップなどのあったか小物が大々的に展開される。
コンビニのあったか小物群はファッションというよりも、急な気候変動に対応する応急ギアのようなものだろう。
寒くてたまらん日に駆け込んだコンビニで買うものだから、おしゃれさは求められず、老若男女が抵抗なく身に付けられる無機質なデザイン。
透明ビニール傘と同様の扱いなのではないかと思う。

こんなにシンプルなニットキャップなら、大きな鉢の頭にかぶせても悪目立ちしないのではないか。
それにきっと、長年の販売実績を反映し、改良を重ねたベストな商品であるに違いないと見込んだ僕は、さっそくファミリーマートで買ってみた。

「Warm Select 二重編み帽子(SIZE FREE) Super暖 Level 2」という、読めばすべてがわかったような気になる商品タグが付けられている。
防菌防臭加工&あったか二重編みという高機能。そしてお値段は本体1080円という好コスパ商品だ。
製造元は株式会社GSIクレオスとクレジットされていたので調べてみると、様々なアパレルなどにOEM製品を供給する1931年創業、東証一部上場の老舗繊維会社だった。
信用性も抜群だ。

で、久しぶりにニットキャップをかぶってみました。
う〜ん、どうなんだろうこれ。でも今までかぶった中では、一番“あり”かもしれない。
似合う・似合わないはさておき、かぶり心地は上々である。

[1日5分で、明日は変わる]よみタイ公式アカウント

  • よみタイ公式Twitterアカウント
  • よみタイ公式Facebookアカウント

関連記事

よみタイ新着記事

新着をもっと見る

佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『糖質制限の真実』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『STUSSY2017 FALL/HOLIDAY COLLECTION』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

週間ランキング 今読まれているホットな記事