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佐藤誠二朗「グリズリー世代のバック・トゥ・ザ・ストリート」
グリズリー……それは北アメリカ北部に生息する大きな灰色のヒグマの名であると同時に、白髪交じりの頭を形容するスラング。頭にちらほら白いものが目立ち始める40~50代を、アラフォー、アラフィフといってしまえば簡単だけど、いくつになってもオシャレと音楽が大好きで遊び心を忘れない彼らを「グリズリー世代」と名付けよう――
そんな思いを胸に、自身もグリズリー世代真っ只中の著者がおくる、大人の男のためのファッション&カルチャーコラム。

マニアックすぎてほとんど伝わらない、大人の男の100均オシャレ術

最初に断っておくと、100均アイテムでちゃんとしたオシャレができるわけない。
絶対に無理だから、やめておいたほうがいい。

この原稿を書くためのリサーチ、早い話がネタ探しのために大きな100均をじっくりと回ってみた。
最近の100均は、全商品が100円でなければならないという呪縛から解放され、数百円〜1000円弱のものまであるから、品揃えは以前よりずっと充実している。もはや“100均”という通称もおかしいんじゃないかということだが、ややこしくなるから突っ込まない。

ファッションアイテムも帽子やベルト、靴下、サングラス、バッグ、サンダルなどいろいろあるし、デザインも頑張ってる感じはする。
だけどいくら頑張っても100均は100均で、やっぱり安っぽい。というのは当たり前なので目をつぶるとしても……。
100均に並ぶアイテムは、量産してなんぼの超マスプロダクツ。一見、今っぽいオシャレアイテムも、万人受けを狙った当たり障りのないデザインで、どれもこれもあんまり面白くないのである。

デッド・ケネディーズ風のゴム手袋発見‼︎ でも、これはオシャレなのか?

「全然買うものないなあ」と思って店内をグルグル回っていたら、園芸コーナーでひとついいものを発見した。ゴムコーティングを施された作業用手袋だ。見つけた瞬間、「お、ちょっとビアフラっぽいじゃん」と思った。
1970年代後半から1980年代中頃にかけて活躍したアメリカ・カリフォルニアのハードコアパンクバンド、デッド・ケネディーズのボーカル、ジェロ・ビアフラのことだ。
性急なビートに乗せて政治的なメッセージを叩きつけるデッド・ケネディーズは、パンク業界の中でもカリスマ的人気を誇るバンドで、数々の伝説は今も語り継がれている。

ビアフラは活動初期、一般的なパンクファッションとは一線を画す独特のいでたちでステージに上がっていた。一時期のシンボルのひとつが、どぎつい緑色のゴム手袋だったのだ。熱のこもったステージジングでシャツを脱ぎ捨て上半身裸になっても、ゴム手袋は外さないその姿は変態的でかっこよかった。

でも、あまりに変だったのでビアフラの手袋を真似するパンクキッズは少なく、本人もいつの間にかつけなくなった。

そんなビアフラ風100均ゴム手袋。家に戻って手にはめてみて思った。
「よし、これは自転車の修理や庭仕事、日曜大工のときに使おう」。
100均でオシャレするのは無理なのだ。

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佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『糖質制限の真実』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『STUSSY2017 FALL/HOLIDAY COLLECTION』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

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