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佐藤誠二朗「グリズリー世代のバック・トゥ・ザ・ストリート」
グリズリー……それは北アメリカ北部に生息する大きな灰色のヒグマの名であると同時に、白髪交じりの頭を形容するスラング。頭にちらほら白いものが目立ち始める40~50代を、アラフォー、アラフィフといってしまえば簡単だけど、いくつになってもオシャレと音楽が大好きで遊び心を忘れない彼らを「グリズリー世代」と名付けよう――
そんな思いを胸に、自身もグリズリー世代真っ只中の著者がおくる、大人の男のためのファッション&カルチャーコラム。

真冬コーディネートの外しにおすすめしたい、白キャンバススニーカー

下駄箱の中には常に、白キャンバスのクラシックスニーカーが入っている。
最近まではフランスのブランド、パラディウムのものを愛用していたが、だいぶくたびれてきたので新しい一足を買うことにした。

白い靴、それもシンプルで軽い雰囲気のキャンバススニーカーといえば、春〜夏だけ履くものと思いこんでいる人も多いだろう。
もちろん、春夏のコーディネートに合うのは当然。でも僕は、真冬でも白いスニーカーを履く。
黒を基調とした重苦しい雰囲気のコーデになりがちな真冬、足元を白いキャンバススニーカーで外すと、軽さが出ていい感じになるからだ。

重厚なブーツを履けるというのも真冬の楽しみではあるが、ブーツ一辺倒では面白くない。たまに白キャンバススニーカーを合わると、少しだけ気分も軽くなる気がする。

新しい白キャンバススニーカーは、何にしようか悩んだ末、コンバースのジャックパーセルに決めた。

人生で何足目のジャックパーセルだろう。
もう数え切れないくらい買っては履きつぶしてきている。

白キャンバススニーカーなら、コンバースのジャックパーセルが一押し!

ジャックパーセルは1990年代前半、ニルヴァーナのカート・コバーンが愛用したためグランジアイテムとして浸透。以降、ロックファッションの定番となった。
でもこの靴の歴史はもっともっと古い。

誕生は今から84年前の1935年。スポルディング社からバドミントン用シューズとして発売されている。モデル名は、カナダの伝説的バドミントンプレイヤー、ジャック・パーセル氏に由来しているのだそうだ。
今ではいかにもクラシカルに見えるが、発売当時は斬新なデザインだった。耐久性も履き心地も最高レベルのハイテクスニーカーとして、バドミントンだけではなくテニスやスカッシュのプレイヤーにも愛されたという。

デザイン上の大きな特徴は、“ヒゲ”あるいは“スマイル”と呼ばれる爪先部分のラインだが、初期モデルにはなかったそうだ。
ヒゲが登場したのは1950年代。発売元がスポルディング社からB.F.グッドリッチ社に移ったタイミングで追加された仕様である。
その頃の大スター、ジェームス・ディーンは、このジャックパーセルを愛用していたことで知られる。
B.F.グッドリッチ社は1972年、コンバース社に買収される。以降、ジャックパーセルはコンバースの定番ブランドのひとつとなった。

老若男女、誰が履いてもそれなりに味が出るのがクラシックスニーカーのいいところ。中でもジャックパーセルは、我々グリズリー世代がリアルタイムで経験したグランジというストリートカルチャーとゆかりが深い一足。

真冬にこそ、コーディネートに取り入れることをオススメしたい。

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佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『糖質制限の真実』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『STUSSY2017 FALL/HOLIDAY COLLECTION』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

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