そんな思いを胸に、自身もグリズリー世代真っ只中の著者がおくる、大人の男のためのファッション&カルチャーコラム。
2019.12.19
真冬コーディネートの外しにおすすめしたい、白キャンバススニーカー
下駄箱の中には常に、白キャンバスのクラシックスニーカーが入っている。
最近まではフランスのブランド、パラディウムのものを愛用していたが、だいぶくたびれてきたので新しい一足を買うことにした。
白い靴、それもシンプルで軽い雰囲気のキャンバススニーカーといえば、春〜夏だけ履くものと思いこんでいる人も多いだろう。
もちろん、春夏のコーディネートに合うのは当然。でも僕は、真冬でも白いスニーカーを履く。
黒を基調とした重苦しい雰囲気のコーデになりがちな真冬、足元を白いキャンバススニーカーで外すと、軽さが出ていい感じになるからだ。
重厚なブーツを履けるというのも真冬の楽しみではあるが、ブーツ一辺倒では面白くない。たまに白キャンバススニーカーを合わると、少しだけ気分も軽くなる気がする。
新しい白キャンバススニーカーは、何にしようか悩んだ末、コンバースのジャックパーセルに決めた。
人生で何足目のジャックパーセルだろう。
もう数え切れないくらい買っては履きつぶしてきている。
白キャンバススニーカーなら、コンバースのジャックパーセルが一押し!
ジャックパーセルは1990年代前半、ニルヴァーナのカート・コバーンが愛用したためグランジアイテムとして浸透。以降、ロックファッションの定番となった。
でもこの靴の歴史はもっともっと古い。
誕生は今から84年前の1935年。スポルディング社からバドミントン用シューズとして発売されている。モデル名は、カナダの伝説的バドミントンプレイヤー、ジャック・パーセル氏に由来しているのだそうだ。
今ではいかにもクラシカルに見えるが、発売当時は斬新なデザインだった。耐久性も履き心地も最高レベルのハイテクスニーカーとして、バドミントンだけではなくテニスやスカッシュのプレイヤーにも愛されたという。
デザイン上の大きな特徴は、“ヒゲ”あるいは“スマイル”と呼ばれる爪先部分のラインだが、初期モデルにはなかったそうだ。
ヒゲが登場したのは1950年代。発売元がスポルディング社からB.F.グッドリッチ社に移ったタイミングで追加された仕様である。
その頃の大スター、ジェームス・ディーンは、このジャックパーセルを愛用していたことで知られる。
B.F.グッドリッチ社は1972年、コンバース社に買収される。以降、ジャックパーセルはコンバースの定番ブランドのひとつとなった。
老若男女、誰が履いてもそれなりに味が出るのがクラシックスニーカーのいいところ。中でもジャックパーセルは、我々グリズリー世代がリアルタイムで経験したグランジというストリートカルチャーとゆかりが深い一足。
真冬にこそ、コーディネートに取り入れることをオススメしたい。
