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佐藤誠二朗「グリズリー世代のバック・トゥ・ザ・ストリート」
グリズリー……それは北アメリカ北部に生息する大きな灰色のヒグマの名であると同時に、白髪交じりの頭を形容するスラング。頭にちらほら白いものが目立ち始める40~50代を、アラフォー、アラフィフといってしまえば簡単だけど、いくつになってもオシャレと音楽が大好きで遊び心を忘れない彼らを「グリズリー世代」と名付けよう――
そんな思いを胸に、自身もグリズリー世代真っ只中の著者がおくる、大人の男のためのファッション&カルチャーコラム。

おじさんにとって“諸刃の剣”のダッドスニーカー。オススメできるのはコレだ!

ダッドスニーカーの流行については比較的初期に察知し、ずっと気になっていたのだ。

でも自分のファッションに取り入れようとは思わなかった。
我々グリズリー世代のおっさんにとって、ダッドスニーカーは“危険な物件”。
言うなれば、諸刃の剣のようなものだからだ。

アッパーは派手な色使いで、ガチャガチャしたハイテク系デザイン。ソールは分厚く、全体的にぼってりとボリュームのある、レトロな顔立ちのダッドスニーカー。
休日に父親が履くようなダサい雰囲気であるということで、そう名付けられた。

流行の発端は、2013年にスタートしたラフ・シモンズとアディダスOZWEEGOのコラボラインだった。
高級ブランド系が先行したということもあり、初期はおしゃれ感度の高い人の間での限定的な流行だったが、一昨年あたりから一般層の間でもブレイクし、流行は続いている。

でもね、ダッドスニーカーは若者が履いてこそのもの。
若くて綺麗で可愛い人が敢えての“外し”感覚で履くからカッコいいのだ。
我々のようなリアルダッド=おっさんが履いたら、シャレにならないだろう。

……そう思っていたから、見て見ぬふりをしてきたんだけど、ついに我慢できなくなりました。

一筋縄ではいかない、おっさんのダッドスニーカー選び

だってね、ダッドスニーカーの雛形になったのは、90年代のハイテク系。それはまさしく我々の青春時代の風俗だ。
それに僕はエアマックス95を代表とする1990年代中期からのハイテクスニーカーブーム以前に、ダサいスニーカーを愛用した時期がある。

1990年代初頭のマッドチェスタームーブメントの時代だ。
マンチェスターのミュージシャンおよびそのフォロワーの間には、ゆるゆるのバギーパンツにダボダボTシャツなど、敢えて野暮ったい服装をするのがかっこいいとする風潮があった(詳しくは拙著『ストリート・トラッド』をぜひご覧ください)。

当時、マッドチェスタームーブメントを肌でビリビリ感じていた僕は、古着屋でせっせとダサい服探しをしていた。靴はナイキのトレッキングスニーカーという、なかなか微妙な代物を見つけて履いていた。
でも当時は僕も若く可愛かったので、オシャレとして成立していた自信はある。
これホント。

そんな経緯もあり、ダッドスニーカーにはなんだか妙に親近感を抱いてしまう。
やっぱりダサいダッドスニーカー履きたい! その思いは徐々に強くなっていった。

でもセレクトは慎重にしなければならない。
無理して若い子の真似してると思われるのも癪だから、あまりアクの強いものはダメ。
ダッド感は出しつつも、年相応の抑制的なものにしなければ。

カラーも派手なものは避けた方がいいだろう。
「あ、おじさんがダッドスニーカー履いてるーwww」と指摘されないように、さり気な〜く取り入れなければならない。
ああ、面倒臭い。

そんなことをうじゃうじゃ考えた末に選んだのは、アディダスがダッドスニーカーラインのひとつとして投入したモデル、YUNG-1だ。
アッパーが黒、ソールが白のツートーン配色を選択した。

ちょうどいい心持ちのダッド感で、なかなか悪くない。……と思う。
アディダスの最新技術が搭載されたハイテク系だから、履き心地だって抜群だ。

よし、臆せず堂々と履きこなしてやるぜ!

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佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『糖質制限の真実』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『STUSSY2017 FALL/HOLIDAY COLLECTION』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

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