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佐藤誠二朗「グリズリー世代のバック・トゥ・ザ・ストリート」
グリズリー……それは北アメリカ北部に生息する大きな灰色のヒグマの名であると同時に、白髪交じりの頭を形容するスラング。頭にちらほら白いものが目立ち始める40~50代を、アラフォー、アラフィフといってしまえば簡単だけど、いくつになってもオシャレと音楽が大好きで遊び心を忘れない彼らを「グリズリー世代」と名付けよう――
そんな思いを胸に、自身もグリズリー世代真っ只中の著者がおくる、大人の男のためのファッション&カルチャーコラム。

ビッグシルエットの流行が継続している今、20年前の服がちょうどいいはず……

ストリートウェアのトレンドは、ビッグシルエットが継続傾向である。

今回の流行は2015年秋冬あたりから始まっているのでそろそろ収束してもいい頃だけど、コレクションブランドの傾向や店頭に並びはじめた秋冬の新作を見ると、ルーズスタイル優勢はまだまだ続きそうだとわかる。

ルーズな服については本コラムの第1回目でも取り上げているが、本来は我々グリズリー世代こそが堂々と着るべきもの。
だって、ルーズスタイルを真似したのは、今の若いやつらの方なんだから。

僕は物をあまり捨てられない“アンチミニマリズム”な性格なので、家の中はいつもゴチャゴチャだ。
衣類についてはキリがないから、比較的きちんと断捨離しているつもりなんだけど、それでもかなり前に買った服がクローゼットの中で眠っている。

そんな家庭内ヴィンテージをたまに見返してみると、トレンドが一周回って今の流行に合う服が出てくるから大変お得!

そんなことばかり言ってるので、ますますゴチャゴチャしてくるのだが。

当時「ダボダボだな」と思って着ていたアンダーカバーのデニムジャケットだったが

ちょっとビッグシルエットな秋物が欲しくて、どこかのショップへ買いに行こうかと考えていたら、「アレ、まだ残してあったよな」と思い出した。
アンダーカバーのデニムジャケットだ。

いつ買ったのか忘れていたのでネットで調べてみたら、2001年もの。
パリコレに進出する前だから、今よりもカジュアルで普通に着られるストリートウェアが多かった頃だ。

ワークウェアであるカバーオールを基調としたデザインで、1990年代から継続していたルーズシルエットの流行を反映し、かなりゆったりめのつくりだったはず。
当時、「ダボダボだな」と思いながら着ていたことを思い出す。
クローゼットの中で熟成させたおかげでトレンドが一周し、いま着るとちょうどいい塩梅になっているに違いない。

ビッグシルエットな服を発掘したぜ! この秋はまたこれをいっぱい着よう。
そう思って袖を通してみたら、そんなにダボダボじゃなかった。
そうか……。
あの頃と比べると、我が身の方もビッグシルエットになっているんだった……。
20年弱という時の流れを、いやが応にも感じてしまった。

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佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『糖質制限の真実』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『STUSSY2017 FALL/HOLIDAY COLLECTION』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

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