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佐藤誠二朗「グリズリー世代のバック・トゥ・ザ・ストリート」
グリズリー……それは北アメリカ北部に生息する大きな灰色のヒグマの名であると同時に、白髪交じりの頭を形容するスラング。頭にちらほら白いものが目立ち始める40~50代を、アラフォー、アラフィフといってしまえば簡単だけど、いくつになってもオシャレと音楽が大好きで遊び心を忘れない彼らを「グリズリー世代」と名付けよう――
そんな思いを胸に、自身もグリズリー世代真っ只中の著者がおくる、大人の男のためのファッション&カルチャーコラム。

ブームに乗っかりたいおじさんにオススメの、若者にはわからない“ロゴもの”服

去年の春夏あたりから急に目立つようになった“ロゴもの”ファッションの流行は、まだ継続中のようだ。
大きな流れで見ると、1990年代テイストのリバイバルが来ていて、ロゴものはそのビッグウェーブの中の一現象と見られている。

アパレル系、スポーツ系、アウトドア系のブランドロゴから、本来は服とは関係のない企業ロゴ、それに映画のタイトルやバンド名まで、巷にはロゴものの服が溢れている。

無理して若者に合わせようとは全然思わないが、ストリートスタイルのトレンドには軽く乗っかる主義なので、僕も最近は手持ちの服の中からロゴものを選択することが多くなった。

僕の手持ち服でロゴものといえばバンドTシャツが多いのだが、バンドTは本コラムでも紹介してきたので、今回は別のものを。

グリズリー世代が青春を捧げた時代の“ロゴもの”には名作が多い

LONSDALE(ロンズデール)のロゴ服には強い思い入れがあり、学生の頃からずっと着つづけている。

本来はボクシング用スポーツウェアブランドであるイギリスのロンズデールは、1960年代後期にモッズ、スキンヘッズの若者に見出され、ストリートウェアとして定着。
1970年代後半のネオモッズムーブメントでも人気となった。
このロゴデザインは不朽の名作とされていて、ブリティッシュ系のバンドロゴなど、様々な形でオマージュされている。

Gio-Goi(ギオゴイ)は1980年代後半〜1990年代前半のマッドチェスタームーブメントの中から生まれたブランド。
マッドチェスターのバンドやその支持者は、オーバーサイズの服を着る独特のファッションで知られていたが、特定の人気ブランドはなかった。
そんな中でシーンの最重要人物の一人であるハッピー・マンデーズのショーン・ライダーが、友人に「俺たちが着たい服はわかるよな」と言ってつくらせたブランドがギオゴイなのだ。
日本では一度も火がついたことがないから、ほとんど誰も知らないブランドというのが、自分の中では最大のポイント。

そして、「HACIENDA」(ハシエンダ)ロゴのスウェットはH&Mのもの。
ハシエンダというのは、マッドチェスタームーブメントの中心地となった、ファクトリーレコードが運営していたクラブの名前だ。
もともと“大農園”を意味するスペイン語の一般単語で、このロゴスウェットもファクトリーレコードの公式デザインではない。
でも滲んだように見えるロゴは明らかに、ドラッギーなカルチャーであったマッドチェスターを意識したものであり、H&Mさんのデザインは確信犯的。
こういう、わかる人だけにはわかる感じが好きなのだ。

せっかく歳をとってるんだから(変な言い方だけど)、若者には真似できないおっさん流ロゴものコーデをぶちかましてやりたい。

こういう態度、若い子から見たら相当うざいかもしれないけど、構わない。
だっておじさん、根がパンクだから。

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佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『糖質制限の真実』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『STUSSY2017 FALL/HOLIDAY COLLECTION』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

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