よみタイ

世界の超一流知識人に英語で取材する国際ジャーナリストが伝授。TOEICで満点を取るより英語を話せるようになる方法とは?【大野和基インタビュー 前編】

恥をかく勇気と好奇心が英語力上達のキモ

――ネイティブと話すようになるためには、リスニングとスピーキングの力が重要になります。その鍛え方もぜひ知りたいです。

「絶対にリスニング力が上達する方法がひとつだけあります。聞いた英語を字幕などを見ず、自分で書き起こしてみることです。

私は高校時代、短波放送で聴くことができた、『Voice of America』というアメリカのラジオ番組を録音して何度も聞き、1か月かけて全てを英文に起こしていました。そして、(放送局のある)ワシントンに『〇月〇日放送回の文字起こし原稿を送ってください』と手紙を出して、送ってもらい、答え合わせをしていたんです。これだけで私のリスニング力は格段に上達しました。何度も何度も聴いているとだんだん慣れてきます。 慣れてくると、抵抗がだんだんなくなってきて、機関銃みたいにバーッと一気に喋られても、頭の中にまとめてガバッと文章が入ってくるようになります。

今ならYouTubeがありますから、気になる英語放送などを、0.75倍速でも0.5倍速でもいいから最初はスピードを落として聞いて書き起こせばいいんです」

――ただ長い時間、英語を流し聞きしていれば聞こえるようになるわけじゃないんですね。

「それではダメです。自分で英語に起こすことこそ本当に大事です。起こしてみたら、字幕などの英文とごまかさずに比べてみて、『ここの〇〇が抜けてた』とか『××が抜けてた』とチェックして覚えていくのです。それしかありません。適当にごまかして聴いているといつまでたっても上達しません。

たとえば英語は前置詞が非常に重要です。『6月20日までにご連絡いただけるとありがたいです』は英語で『If you get back to me by June 20, I would appreciate it.』と言いますが、間違って『If you get back at me by June 20, I would appreciate it.』と言うと、『6月20日までに私に仕返しをすると、ありがたいです』というとんでもない意味になってしまいます。toをatに変えるだけでまったく違う意味になります。日本語では助詞が中心なので、英語の前置詞の細かい違いが軽視されがちですが、英語ではこの1語で意味がガラッと変わることがよくあります。

英語で聞く内容は、ニュースとかじゃなくて、まずは興味のある分野が一番いいと思います。もし料理に興味があったら料理、サッカーが好きならサッカーでいい。自分の興味のないものは、やはりしんどいです。興味がある分野の英語の動画を追うことです。好奇心こそが物事を継続される力になりますから。

機関銃みたいに早く喋っている動画はスピードを 0.5倍速にしてみる。どんなに速く喋っていても、そのくらいのスピードにすれば、リンキング(単語と単語の音のつながり)も『ああ、こうつながってるんだ』と、わかるようになります」

――確かに。今は音声のスピードを簡単に変えることができるからやりやすいですね。

「そうです。だからやらない理由はありません。

スピーキングに関しては、実際に喋るしかありません。一番いいのは日本語を勉強しているアメリカ人の友達をつくること。『あなたのわからない日本語を私が教えてあげる。 理屈や文法じゃなくて、日本語としておかしいですよってことを教える。 だから、あなたも私が変な英語を喋ったらすぐに指摘してください』と。 つまり、求めるもののエクスチェンジ。これは、お金もかからないし、英会話カフェとか英会話学校とかより断然いいです。

なぜかというと、学校などは生徒が英語ができないとわかっているから、生徒の実力に合わせて、話すスピードもゆっくりにしてくれたり、励ましてくれたりもします。それじゃダメなんですよ。実際にアメリカに行ったら、機関銃みたいに早くて、そんなゆっくりなんてしゃべってくれないわけですから」

――アメリカなど現地に行かなくても、これなら日本にいてもできちゃいますね。

「東京なんか最高ですよ。いくらでも日本語を勉強したい外国人はいます。地方に住んでいる外国人も結構いますから、相手が地方ならオンラインでやればいいんですよ。『週末、あなたの日本語を直してあげるから、あなたは私の英語を直してください』と。

日本人は(単語や文法などが)完璧になってからしゃべろうとするけど、やっぱり言語の習得は逆なんです。アメリカって、まずやってみることが一番重要で、それで失敗してもOKを与える文化。アメリカ人なら、まずしゃべって間違ってから直します。だから、もちろん最初からはできないかもしれないけど、やっぱり英語でしゃべりたい、コミュニケーションを取りたいなら、恥をかいてもしゃべっていくしかないってことです」

「大事なのは自分のコンフォートゾーンから少しずつ出ていくこと。 人ってみな違うから。1日1語を新しく知っていくことでも継続すればいいんです」
「大事なのは自分のコンフォートゾーンから少しずつ出ていくこと。 人ってみな違うから。1日1語を新しく知っていくことでも継続すればいいんです」

以下、後編に続く。5月3日20時配信予定です。お楽しみに!

大野和基『懐に入る英語』刊行特集一覧

【試し読み その1】「TOEIC満点でも本当の英語はしゃべれない」と言われるのはなぜか? 英語ネイティブが不自然な英語に極めて不寛容な理由

【試し読み その2】「日本語だけの情報源に頼っていると1、2年遅れる」取材殺到のノーベル経済学賞受賞者のインタビューをすぐとれたジャーナリストが愛読する海外メディア

【著者インタビュー前編】TOEICで満点を取るより英語を話せるようになる方法とは?

絶賛発売中

ポール・クルーグマン、カタリン・カリコ、カズオ・イシグロ、ダロン・アセモグルなどノーベ
ル賞受賞者の取材は約20名。その他、イアン・ブレマー、マーカス・デュ・ソートイ、ジム・ロジャーズ、ユヴァル・ノア・ハラリら、「世界の超一流知識人・ビジネスパーソン」を、40年以上“英語”で取材し続け、彼らから絶大なる信頼を得る国際ジャーナリストである著者が、そのキャリアで培った「相手の心をつかんで離さない」(=「懐に入る」)英語の上達術を大公開! 「知の巨人」たちが会話やメールでよく使う英単語やフレーズ例なども多数紹介、楽しく読みながら使える最新の英語が学べる一冊。

書籍の購入はこちらから!

1 2 3

[1日5分で、明日は変わる]よみタイ公式アカウント

  • よみタイ公式Facebookアカウント
  • よみタイX公式アカウント

新刊紹介

大野和基

おおの・かずもと/国際ジャーナリスト。

1955年生まれ、兵庫県西宮市出身。大阪府立北野高校卒。
東京外国語大英米学科卒業後、1979年に渡米。コーネル大学で化学、ニューヨーク医科大学で基礎医学を学んだ後、ジャーナリストの道に進む。
​以来、国際情勢の裏側や医療問題に関するリポートを発表するとともに、世界的な要人・渦中の人物への単独インタビューを次々とものにしてきた。芸能ゴシップから国際政治経済モノまで、すべてを等距離に置くことをモットーとする。
3カ月で10万部のベストセラー『コロナ後の世界』(ジャレド・ダイアモンドほか、文春新書)、『民主主義の危機』(イアン・ブレマーほか、朝日新書)などの訳書、『つながりすぎた世界の先に』(マルクス・ガブリエル)、『お金の流れで読む 日本と世界の未来』(ジム・ロジャーズ、ともにPHP新書)、『オードリー・タンが語るデジタル民主主義』 (NHK出版新書)などインタビュー・編著多数。
著書に『私の半分はどこから来たのか』(朝日新聞出版)、『日本人だけが知らない世界基準の「質問力」』 (祥伝社)などがある。
公式HP■https://www.kaz-ohno.com/

週間ランキング 今読まれているホットな記事