2023.7.19
大人が「かわいい」「かわいくない」で態度を変えることがあるなんて……第3話 トンボ柄の浴衣
『まじめな会社員』で知られる漫画家・冬野梅子が、日照量の少ない半生を振り返り、地方と東京のリアルライフを綴るエッセイ。
前回は、子ども時代の習い事の「圧」が綴られました。
今回は、冬野さんが初めてルッキズムに触れたエピソードについて。
(文・イラスト/冬野梅子)
第3話 トンボ柄の浴衣
私は父方の祖母と同居していたので、いわゆる「おばあちゃんち」と呼ばれるような、年に数回会う親戚の代表格は母方の祖父母の家だった。
その家には祖父母と母の弟夫婦が住んでおり、いわば「長男の家」なので親戚がよく集まった。
小学生の夏休みは、車で30分もかからない場所にある祖父母の家に泊まるお盆の時期が一番の楽しみで、少し年上のいとこに混ざって花火をしたり、川にお盆の飾りを流しに行ったりするのが本当に楽しかった。
主に集まるのは、関東に住む母の妹夫婦の一人息子と、「長男の家」の近所に住む弟夫婦の3きょうだい(姉・弟・弟)で、私を除く唯一の女の子が5歳ほど年上の祐実お姉ちゃんだった。
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「祐実お姉ちゃんは可愛い」と認識したのは、おそらく私が小学校2年生くらいの時である。
ある日、母がスーパーのチラシを手渡し「祐実お姉ちゃんが載ってるよ」と見せてくれた。そこには子供服のモデルをするいとこが写っていた。
当時、私もまだまだ子供ではあったが、それでもモデルをするということは客観的に美人と認められた証だということくらいは知っていたので、「すごい」という気持ちと少し羨ましい気持ちと、いずれ成長すると自分もこうなるのかもしれないという希望も持った。
たしかに祐実お姉ちゃんは昔から可愛かった。
ちなみに、祐実というのは仮名である。その頃安達祐実が人気だったのだが、いとこは安達祐実に似ていた記憶がある。
しかし当時は、顔の美醜を判別して「可愛い」と認識していたわけではない。
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