2021.4.28
食用はわずか1%! 栄養豊富な「おから」が食べられずに捨てられてしまう本当の理由
日本では1年間に約612万トンもの食品ロスがあり、実は、そのうちの半数近くにあたる284万トンは、一般家庭から捨てられているのが現状です(2017年、農林水産省・環境省調べ)。
各家庭や個人で無理なくできる食品ロスの対策には、どのようなものがあるのでしょうか。
地球環境に優しく、食費の節約にもなる「捨てない食卓」の始め方を、食品ロス問題ジャーナリストの井出留美さんが食材ごとに解説します。
前回は、グリーンピースの「さや」まで使い切る方法を紹介しました。
今回は、食用活用率が非常に低い「おから」について考えます。
年間約3〜6万トンも捨てられる「おから」
4月の和風月名は卯月。4月に卯の花(ウツギ)が咲くことから「卯月」と呼ばれるようになった説もあるそうです。
4月8日の「花まつり(灌仏会)」には、家に卯の花を飾りお釈迦様の誕生日を祝う風習もあります。
卯の花といえば、おからの別名。
これにちなんで、4月8日は「おからの日」に制定されています(おからの日実行委員会が制定)。
おからは、豆腐や豆乳をつくる過程でできる副産物です。
街の豆腐屋さんでは、豆腐と一緒におからが売られています。そんな豆腐屋さんも、昭和18年には4万7千以上もあったそうですが、平成25年には、その6分の1以下の8千まで少なくなってしまいました(全国豆腐連合会「豆腐製造事業者数の推移」による)。
実はおからは、食用としての利用率が非常に低い食材です。
人間が食べているのは、全おから生産量のうち、なんと1%に過ぎません。
日本豆腐協会の資料によると、おからの利用割合は、飼料用がほとんどで65%。次いで肥料用で25%。その他が10%で、そのうち5〜9%が産業廃棄物として捨てられており、食用が1%以下となっています。
おからの年間発生量は約70万トンありますから、そのうち3〜6万トン前後が廃棄されているということです。
本当にもったいないですね。
おからの食用への活用が進んでこなかった理由はいくつか考えられますが、その一つが、水分の多さです。
約70%前後という、大量の水分を含むために劣化が早いという点があります。
ある豆腐メーカーの方に聞いた話によると、納品先のスーパーにおからを持っていったところ、「これ、ただ(無料)でいいでしょ?」と言われたことがあるそうです。
おからは、食物繊維や大豆タンパク質を含む食材として注目されているのに、この対応は残念ですね。