よみタイ

小池克臣「No Meat,No Life.を生きる男の肉だらけの日々 肉バカ日誌」

ついに完結! 肉バカが1年間食べまくって選んだ焼肉以外の肉料理の名店【焼ニシュラン2019(番外編)】その2

☆☆[和田金]

元祖松阪肉の名をあげ、昔から変わらぬこだわりを貫き通しているのが、ここ「和田金」だ。

月齢が浅く、サシが入っただけの松阪牛ではなく、とことん味を追求した松阪牛。
和牛の聖地・松阪に存在する松阪牛の金銀。
その金とは和田金のこと。

和田金は松阪のすき焼きの元祖といえる存在で、信じられないことに自社牧場で肥育した純但馬血統の松阪牛のみを使用している。
自社牧場で肥育された松阪牛は、もちろんセリに出されることがない。

その為だろうか。
意図的にサシを入れるようなこともなく、小豆色と呼ぶに相応しい肉色。
そして「くいしんぼー山中」で食べる福永さんの純但馬血統の近江牛に近い食感と深い味わいを持つ。

松阪牛の中でも純但馬血統の個体が非常に稀といれる時代に、自社牧場でとことん味を追求した純但馬血統の松阪牛を、いつでも食べられるという奇跡のありがたさが分かるだろうか。

脂の上品な甘みが舌の上で踊り出す
脂の上品な甘みが舌の上で踊り出す

☆☆[牛銀]

和牛の聖地・松阪に存在する松阪牛の金銀。
金が和田金なら、銀とは「牛銀」のこと。

かつては特産松阪牛しか扱っていなかった牛銀も、ここ数年は特産松阪牛の肥育頭数の減少によって、特産以外の松阪牛を扱い始め、いつでも特産松阪牛が食べられるわけではなくなってしまった。

しかし、松阪を支える老舗の意地だろうか。
生産者と協力しながら、特産松阪牛を肥育する生産者を支援し、特産松阪牛の復興に尽力している。
肉バカも数年前から虜になっている畑さんの特産松阪牛に出会えた時は、自分の幸運に心から感謝したものだ。

すき焼き鍋から香る和牛香や口の中でほどけて広がる深い味わい。
本来の松阪牛とはこういうものなのだろう。
採算度外視で特産松阪牛を残そうとする生産者を支える、老舗の底力を感じずにはいられない。

松阪を、日本を代表するすき焼きの老舗。
このこだわりをいつまでも持ち続けて欲しい。
そして、このこだわりをより強くし続けて欲しい。
牛銀にしか出来ない役目があるのだから。

宝石のような肉1枚1枚に込められた老舗のこだわりと誇りを思う存分噛みしめて欲しい
宝石のような肉1枚1枚に込められた老舗のこだわりと誇りを思う存分噛みしめて欲しい

☆☆[おう児]

おう児」の店主は牛銀出身。
牛銀時代は自ら牧場を回り、生体の状態から徹底的に牛を学んだ経験を持ち、独立後も変わらず特産松阪牛だけにこだわり続けている。

おう児のすき焼きの特徴は、まずすき焼きとしては圧倒的な厚みを持つ。
また、味付けが少し薄めなこともあり、溶けるような食感ではなく、とにかく肉の味をこれでもか、というほど存分に味わえる。

食事をしながら店主と話すと、牛のことを「牛さん」と呼ぶ。
牛のことしか考えていない、大変な牛好きとしか思えない笑顔を見せてくれる。
いや、牛の中でも特産松阪牛に惚れ込んでしまっている。

こんな店主が選んだ「牛さん」、食べずにはいられない。

「牛さん」そのもののポテンシャルの高さを堪能できる
「牛さん」そのもののポテンシャルの高さを堪能できる
1 2 3 4

[1日5分で、明日は変わる]よみタイ公式アカウント

  • よみタイ公式Twitterアカウント
  • よみタイ公式Facebookアカウント

よみタイ新着記事

新着をもっと見る

小池克臣

こいけ・かつおみ●1976年、神奈川県横浜の魚屋の長男として生まれたが、家業を継がずに肉を焼く日々。焼肉を中心にステーキやすき焼きといった牛肉料理全般を愛し、さらには和牛そのものの生産過程、加工、熟成まで踏み込んだ研究を続ける肉の求道者。著書に『No Meat,No Life.を実践する男が語る和牛の至福 肉バカ。』がある。
公式ブログ「No Meat, No Life.」→ http://d.hatena.ne.jp/BMS12/

週間ランキング 今読まれているホットな記事