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グルメサイトを眺めているだけでは辿り着けない噂の名店(焼肉編その2~西新宿・若葉)

そこで再び注目されてきたのが昭和感満載の昔ながらの焼肉だ。

肉質も大事かもしれないが、それよりもタレを重視し、懐に優しい。
無煙ロースターなど聞いたこともないかのような煙モクモクの店内。
店舗はボロければボロいほどテンションが上がる。
それでいて毎日キレイに手入れされたロースター。
メニューはシンプルなほど良く、希少部位の表示など論外。

欲張りかもしれないが、店主の愛想が悪いにもかかわらず、時折見せる優しさと笑顔が素敵だと文句の付けようがない。

こういった昭和の焼肉店は、グルメサイトで探すよりも、足を使ってメボシイお店に片っ端から突撃するのが正しい。

失敗もあるだろうが、アタリのお店を見つけられれば、その失敗も貴重な経験となる。

そして、もちろん昭和の焼肉同士の情報交換も忘れてはならない。

今回は、肉バカが最近巡り合ったシビれる昭和の焼肉店を紹介したい。

創業42年という文句なしのベテランで、ベースは間違いなく昭和。
ただし、昭和にタイムスリップしたかのような化石タイプではなく(もちろん肉バカは化石タイプも大好き)、ベースを大事にしながら平成の間も独自の進化を遂げていて、最先端の昭和焼肉という言葉がしっくりくる。
その焼肉店の名前は「若葉」。

間違いのない素材のクオリティとメニューのこだわりが圧巻

西新宿の駅から徒歩数分。
高層ビルやマンションに囲まれた一角に若葉はある。

創業42年という割に外観はボロくない。
むしろキレイな外観と言っていい。

実はこれは、以前あった場所から移転したから。
店内はカウンターと奥の座敷にテーブルが2つ。
お店はご夫婦でやっておられ、大将は無口な職人気質。
接客してくれるお母さんは一見の我々にも優しく接してくれる心地良さ。

それぞれのお肉の焼き方は、このお母さんが丁寧に教えてくれ、最初は、お見本まで見せてくれる。

メニューは基本的に7種類の部位が盛り込まれたコース(6000円)1本で、足りなければアラカルトで追加が出来る。

この日のコース1品目は『天使の鶏軟骨』。
火の入りにくい軟骨側が直火に当たるようにロースターに乗せる。
しっかりと味付けされた鶏肉は旨味があり、軟骨部分のサクサクもあとを引く美味しさ。

2品目は上タン塩。
若葉では、タンを食べる時にレモンではなく『かずお』と呼ばれる液体に漬けて食べる。

食べる時の楽しみを奪ってしまうのは申し訳ないので、この場ではその正体を明かさないが、ぜひ若葉に行って試してみて欲しい。
オリジナリティ溢れる食べ方にきっと感動するだろう。

続いて『キングホルモン』という名のシマチョウ。
シマチョウは茄子と一緒にお皿に盛られて来るが、シマチョウの脂を茄子に吸わせながらシマチョウと茄子を同時に焼いていく。
シマチョウ自体ももちろん美味しいが、シマチョウの上質な脂を吸い続けた茄子の美味しさは筆舌に尽くし難い。

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小池克臣

こいけ・かつおみ●1976年、神奈川県横浜の魚屋の長男として生まれたが、家業を継がずに肉を焼く日々。焼肉を中心にステーキやすき焼きといった牛肉料理全般を愛し、さらには和牛そのものの生産過程、加工、熟成まで踏み込んだ研究を続ける肉の求道者。著書に『No Meat,No Life.を実践する男が語る和牛の至福 肉バカ。』がある。
公式ブログ「No Meat, No Life.」→ http://d.hatena.ne.jp/BMS12/

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