2022.1.15
【中村憲剛×福田紀彦川崎市長対談 後編】フロンターレと川崎市の取り組みは全国各都市のロールモデルになる可能性もある
優勝パレードでの安藤駿介選手の言葉が胸に刺さった理由
福田
今度は僕から聞かせてもらってもいいですか?
中村
もちろんです!
福田
憲剛さんが川崎市と関わりを持って活動してきたなかで最も心に残っていることって何ですか?
中村
一番は間違いなく優勝パレードです。2017、18年と2度やらせていただいたんですけど、初めてのときは「こんなすごい光景があるんだ」ってびっくりしました。
福田
私も参加させていただきましたけど、5万人が集まってくれましたよね。
中村
パレードのバスの上に立つと、人がもうぎっしりで商店街の奥のほうまで満杯でしたから。ビルのテナントにいる人まで手を振ってくれていて、もう本当に感動的でした。実はフロンターレのアカデミー出身の安藤駿介選手が昔、練習の際に通っていた場所(市役所通り)だったので、彼が「ここに、こんなに人が集まるなんて夢みたいだ!」と言っていたんですよ。僕、その言葉がかなり胸に刺さって。小さいときからこのエリアを知っている選手がそういうんだから、メチャメチャすごいことなんだなって。しかも、2年連続でやらせてもらいましたから。あの景色は本当に最高でした。
福田
コロナ禍で、残念ながら2020、2021年はできなかったですけど、あれだけの人が集まっていただけるというのは、フロンターレがいかに川崎市民にとって大きな存在なのかがよくわかります。
中村
市庁舎にもフロンターレのビッグフラッグを取りつけていただいて。告知もいっぱいしていただき、お世話になった市役所の方たちが目いっぱい喜んでくれたことがうれしかったです。だって、関係性が薄かったら、あそこまでのパレードはやっていただけないと思うんですよ。警察や消防も含めてまわりのいろんな方たちに全面的に協力していただきました。コツコツと積み上げてきたものが、あのパレードで何か形になった気がしました。それも自分が現役の間に実現したので、心の底から良かったなって。
福田
そうですね。いろんな人の思いがパレードには詰まっていましたよね。
中村
フロンターレの優勝パレードであると同時にフロンターレを応援してくれるみんなの優勝パレードでもあるんですよね。だから、あのときも1周じゃ物足りないから2周させてほしいってお願いしたんです。さすがにそれはダメでしたけど(笑)。日本一のサッカークラブがある街にしたいという思いでやってきて、入団15年目でようやく優勝できて……。あの光景は一生、忘れられません。