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中村憲剛対談「思考のパス交換」

【中村憲剛×福田紀彦川崎市長対談 後編】フロンターレと川崎市の取り組みは全国各都市のロールモデルになる可能性もある

スタジアム入りするとき好きだったテニスコートの光景

福田  
フロンターレと川崎市のような関係性って、全国のどの都市においてもお互いに本気でぶつかったらできるんじゃないかとも思うんですよね。

中村 
今、川崎市はスポーツチームがすごく多くて、スポーツを身近に感じることができる街だなって感じます。

福田  
市が認定している「かわさきスポーツパートナー」は川崎フロンターレをはじめ、男子バスケットボールの川崎ブレイブサンダース、女子バレーボールのNECレッドロケッツ、女子バスケットボールの富士通レッドウェーブ、アメリカンフットボールの富士通フロンティアーズ、野球の東芝ブレイブアレウスの6チーム。スポーツでどう街をつくっていくかというのは、実はこれからだと僕は思っています。

もう2、3年前になりますが、ニューヨークに行って現地のスタジアムやアリーナを回ってみたんですが、試合がある日もない日もそこには、にぎわいがあることを感じました。スポーツのある日常が、街づくりにいろんな変化を起こし始めているのが今の川崎。これまではフロンターレがものすごく突っ走って引っ張ってくれましたけど、今は他競技のチームも街づくりに関わろうとしてくれています。だからすごく伸びしろがある。飲食も健康増進も教育も……スポーツと関連する様々な分野でどんどん広がりが出てくるんじゃないかと期待しているんです。フロンターレが成功事例を出し続けてくれていることで、すごく可能性が広がっています。

中村 
時代によって状況も変化してくるので、新たな課題も出てくるとは思うんです。そうなったら課題解決や街の発展にも貢献できる企画をフロンターレだけじゃなくて、他のスポーツクラブ、チームのみなさんと今以上に一緒にやっていけたらいいですよね。その姿を子どもたちが見てくれて、いろんなスポーツに興味を持ってくれたらいいと思います。

福田  
おっしゃるとおりだと思いますね。

中村 
それぞれのスポーツクラブ、チームが街を盛り上げてくれて、子どもたちがその姿を見て育ち、のちにそのクラブやチームの選手になったら、同じように活動をしてくれる。そしてまた次の子どもたちが、というように、スポーツで街を元気にしていく循環が生まれる。そうなればすごく素晴らしいことですよね。だから、これからの川崎市が楽しみです。

福田 
行動を起こすことが僕は大切だと思っているので、これからもそうしていきたいと思います。夢じゃなくて、実際にやっていくことが大事ですからね。

中村 
はい。いくらスポーツクラブ側が(地域貢献を)やりたいと考えても、そこには行政の理解がなければ始まりません。だから、理解して一緒に動いてもらえたことは本当にありがたいんです。福田市長が言うように、どの都市においても行政とスポーツクラブ、チームが本気でぶつかり合い、擦り合わせていけば、日本全体がそういうふうになっていくようにも思います。

福田 
だからこそ、いい循環が生まれているフロンターレと川崎市のコラボレーションが各都市のロールモデルになるとも思うんですよ。自分たちだけが良くなるだけでは意味がなくて、憲剛さんが言うように全国でそういうことが起こってくると、もっと盛り上がっていくんじゃないかと思いますね。

中村 
等々力陸上競技場に関しても、現在の競技場を球技専用にして、補助競技場を第2種の陸上競技場に改修する骨子案が昨年発表されましたが、本当にビッグニュースだと思いました。僕はサッカーだけ(環境が)良くなればいいなんてまったく思っていませんし、陸上競技の方たちの思いも汲んで改修していく案ということなので、いろいろな面で配慮されているんだなと感じています。

福田  
そういうふうに捉えていただけるとありがたいです。

中村 
あの、この話は今まで話す機会がなかったんですけど、試合のときにチームバスで等々力陸上競技場に行くのですが、そのスタジアム入りのとき、テニスコートでテニスをやっている方たちが見えるんですよ。僕、その光景が結構好きで。

福田 
えっ、そうなんですか(笑)。

中村 
子どもたちも若い人も、おじさんおばさんもみんなテニスに熱中していて。それなのに、プレーを止めて、僕たちに手を振ってくれる方もいて。競技場を含めて、街のみんなのものなんだなって感じながらスタジアムに入っていくんです。こういったことも自分のパワーになりました。

福田  
サッカーにあまり関心がない人でも、市民の日常のなかにフロンターレがあるということですね。

中村 
等々力のあの一帯が将来、「川崎のスポーツの聖地」みたいになればいいのかもしれませんね。そう考えるとむしろこれからが大事になってくる。川崎がどんな街になっていくのか僕も本当に楽しみです。

(終わり)

【ケンゴの一筆御礼】

久しぶりに川崎市庁舎に来ることができたので、優勝パレードの興奮がちょっとよみがえってくるようでもありました。市長応接室にはフロンターレを含め「かわさきスポーツパートナー」のいろんなチームのユニフォームが飾られてあって、「川崎はスポーツの街」だとあらためて思いました。そして市とフロンターレだけでなく、みんなで一緒になってこの街を盛り上げていければいいなと感じることができました。
市長の仕事が多忙極まりないことはわかっていましたが、朝シャワーで大声を出してストレス発散というのはちょっと意外でした(笑)。大変なお仕事だと思いますが、どうぞストレスはあまり溜め込まないように、今シーズンもフロンターレの応援、よろしくお願いいたします。

次回は2月内に配信予定です。お楽しみに!
(取材時は感染対策を徹底し、撮影時のみマスクを外しています)

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中村憲剛

なかむら・けんご●1980年10月31日生まれ、東京都出身。中央大学卒。
2003年、川崎フロンターレに入団。20年の引退まで同チーム一筋のレジェンド。Jリーグベストイレブン8回。16年にはMVPも受賞。日本代表国際Aマッチ68試合出場6得点。10年南アフリカW杯、出場。最新刊『ラストパス』は現在4刷で話題。
公式ブログ■中村憲剛オフィシャルブログ
公式ツイッター@kengo19801031
公式インスタグラムkengo19801031

福田紀彦

ふくだ・のりひこ
1972年4月20日生まれ、川崎市出身。米国ファーマン大学卒。
2003年、神奈川県議会議員に最年少で初当選。13年、2度目の挑戦で川崎市長に初当選。21年、歴代最多得票で3選を果たす。趣味は料理。妻、長女、長男、次男の5人家族。
公式サイト■https://fukuda-norihiko.com/
公式ツイッター@fukudanorihiko

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