2026.7.8
和紙田大學や羽車の紙小物【群ようこ『今日も愛でたい』 第3回】
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最初に「もう買わない」の掟を破るくらい、インパクトがあったのは、和紙の卸問屋オオウエが作っているブランド、「和紙田大學」だった。面白い図柄のポストカード、レターセット、ぽち袋などがあり、ひと目見て気に入ってしまった。最初に目を奪われたのは、「綱吉くんと犬」シリーズ。イヌ好きの人に贈ろうと、何か面白いイヌの柄のポストカードはないかと探していたら、和紙田大學にたどりついた。図柄それぞれに名前がついていて、私が気に入ったのは、自分とほぼ同じくらいの体長があるイヌを抱っこしている綱吉くんのポストカード「~絆~」だった。他にも綱吉くんとイヌが、馬に乗って走っている「~タンデムデート~」、小型の鋤と袋を手に立っている綱吉くんの前で、お尻を向けている、脱糞直前のぷるぷるしているイヌという「~刹那~」もあった。彼女は馬好きで乗馬を習っていた経験があり、
「これは彼女が好きなもののフルコンボではないか」
とこのカードも購入して、プレゼントした。
自分も同じカードを買い、綱吉くんのマスキングテープも購入して、大満足した。こういうときは、物を増やしたという感覚が見事に消えている。楽しいものを買ったという喜びのほうがずっと勝っているのである。これらのカードをお贈りした彼女もとても喜んでくれて、またそれもうれしかった。他にも頭に矢が刺さっちゃった落武者、甲冑を身につけて堂々と立つ、四等身の幸村くん、えっ?という表情の太子くんのぽち袋などがあった。マスキングテープも、綱吉くんだけにしたが、他にもランドルト環がずらっと並んだ「視力検査」、それぞれ違うおみくじが並んでいる「おみくじ」など、悩みに悩んだが、購入するのはぐっとこらえた。
今でも欲しいと思っているが、我慢している。レターセットは使い終わったら、新しいものを買うルールはずっと守っている。古稀を過ぎて、いったい何をやってるんだと呆れるけれど、誰も褒めてくれないので、
「よく我慢している」
と自分で自分を褒めている。しかしよく考えると、それが当たり前なのだった。
よく読者の方から手紙をいただくのだが、すべて出版社経由で届くので、手元に届いたものについては、基本的にお返事というようなものではないが、短い一文を書いて返信している。はがきは天候などによって汚損することもあるので、ポストカードを封筒に入れて送っていた。そのつど、手元にある封筒などを適当に使っていたので、それが紙類が増える原因かもしれないと思いはじめた。数あるなかから、検討しながら選ぶのだけれど、ここであれこれ目移りするのが危険とわかったのである。必要なものだけを買うのならいいのだが、春に秋の柄はおかしいだの、いろいろと考えると、ついついポチッの数が多くなりがちになる。
ポストカードはまだ在庫があるので、返信用に封筒をまとめ買いしておこうと探した。たどりついたのは今回も問屋さんだった。その「羽車」という会社の本社は大阪にあり、一九一八年に杉浦封筒工業所として創業したとのことだった。小売店と違って、個人に対して「売ろう」という押しが強くないので、膨大な品物のなかから欲しい物を見つけるのはとても大変だったけれど、私が探していたものは、ちゃんとみつかった。
やや厚手で封筒を開くと中が金色になっている、普通のシンプルな封筒とはちょっと違う感じのものを百枚購入した。「№57コットン 洋2ダイア二重封筒 ゴールド」これは業務用らしい。もちろん一枚からでも購入でき、枚数が増えれば増えるほど、単価が安くなるしくみである。封緘シールは、「リングシール ゴールド」にした。
問屋さんなので、パッケージや商品タグなどもたくさんあり、栞に使えそうなかわいい鶴亀柄や花などのダイカットのタグ用カードもあった。なかで目が釘付けになってしまったのが、ネコのダイカットの一筆箋セットというのだろうか、封筒もパックされて送れるようになっている。両目のところに穴が開いているのと、うっすら鼻とひげのところが、エンボス加工されているのだが、そのひょろりんとした姿があまりに面白くて、どうしても我慢できずに、自分とお世話になっているネコ好きの方用に二セット買ってしまった。私が勝手に「ひょろりんネコさん」と呼んでいるそのセットは、もったいなくて使えないので、時折、引き出しを開けては眺め、
「うふふ」
と頬をゆるめて、また中にしまっている。まだ在庫はあるのかと羽車のサイトを見てみたら、なかった。膨大な品物のなかから、私が見つけられなかっただけかもしれないが。
これまで何度も裏白の紙を残し、また他の紙も適当な大きさに切ってクリップにとめていたが、それはすべて使いきった。そしてまた裏白の紙、中途半端に使ったノート、万年筆がにじむ便せんなどをまとめて、新たに何でも書けるメモを作成した。メモを書かない日はなかったけれど、まさかあれだけの枚数がなくなるとは思わなかった。これで新たに買わなければ、紙は減るばかりである。最近は本も読んだら処分することにしたので、増え方は前ほどではないが、やはり微増している。私は紙とは一生、縁が切れないと思うし、切ろうとも思わない。紙は私の必需品なのである。
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次回は8月12日(水)公開予定です。
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