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「世界文化遺産」富士山のそこかしこに……。 見てみたい、体験してみたい“穴場”スポット【山の名&珍プレイス 第8回 後編】

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富士山には五合目付近にも山頂がある! 宝永山の火口も大迫力

 ところで、富士山山頂北側とは反対の位置になる南側で行ってみてほしいのが、「宝永山」だ。富士山はコニーデ型火山(成層火山)だが、そのコニーデ型火山の説明をするときに「富士山のように裾野が広がっている円錐形」という枕詞がよく使われるほど、富士山は典型的な円錐形である。しかし、東西と北から見たときは山肌もきれいだが、南側から見ると山腹が大きく窪んでいて、円錐形ではあっても表面の山肌は少しいびつだ。

富士山の南側に連なる愛鷹(あしたか)連峰からの眺め。富士山の中央が丸く大きく窪んでいる
富士山の南側に連なる愛鷹(あしたか)連峰からの眺め。富士山の中央が丸く大きく窪んでいる

 この部分が宝永火口で、上下に3つの火口が並んでいる。そして、その外輪山の一角のいちばん高いところを山頂として扱い、宝永山と呼んでいるのだ。つまり、富士山の山体のどてっぱらに、もうひとつの巨大な火口と山頂が存在していることになる。

宝永山山頂から眺める富士山本体。この位置で標高は2693mだ
宝永山山頂から眺める富士山本体。この位置で標高は2693mだ

 宝永山がおもしろいのは、火口の内部をトラバースするように登山道がつけられていること。富士山本体ではお鉢の下の火口の中には入れないが、宝永山は火口内部の気分を味わいつつ、異世界感を楽しんで歩くことができるのだ。

宝永第一火口は日本最大の爆裂火口で、1707年の宝永大噴火で生まれた
宝永第一火口は日本最大の爆裂火口で、1707年の宝永大噴火で生まれた

 また、富士山の各登山口の五合目以上は7月初旬の開山以降、9月10日前後の閉山までしか登れないことになっており、シーズン後はゲートも閉められてしまうが、宝永山は富士宮ルートの五合目から富士山を横切るように歩いていくことができ、標高も比較的低いために、雪解けが進んだ5月から11月中旬まで登山道が開放されている。だから、富士山が開山する前にも登りに行くことができ、一足早く富士山らしい風景を眺められる。それでいて3~4時間もあれば十分に往復でき、体力的にも厳しくない、おすすめのコースだ。

宝永第二火口。第一火口との間に登山道が通り、宝永山山頂へ続いている
宝永第二火口。第一火口との間に登山道が通り、宝永山山頂へ続いている
登山道に危険な箇所はほとんどないが、山腹に大小の溶岩が転がっている富士山では落石に注意。ガスが出て周囲が真っ白になって視界が効かないときはルートを外さないように気を付けたい (地図の参照元:YAMAP  <a href=https://yamap.com/mountains/21030"" rel="noopener" target="_blank">YAMAPの当該箇所はこちら</a>)
登山道に危険な箇所はほとんどないが、山腹に大小の溶岩が転がっている富士山では落石に注意。ガスが出て周囲が真っ白になって視界が効かないときはルートを外さないように気を付けたい (地図の参照元:YAMAP YAMAPの当該箇所はこちら

次の噴火はいつなのか? 登れるときに登っておこう!

 こんな宝永山は宝永4年(1707年)に2週間も続いたといわれる宝永大噴火で生まれ、それ以来300年以上も富士山は噴火していない。学術的な調査では、ここ2000年で溶岩が流れ出るレベルの噴火は43回も起きているとされ、これは約47年に1度の割り合いだ。そう考えると、すでに300年以上も噴火していない富士山はいつ火山活動が活発化してもおかしくはない。たとえ噴火がごく小規模であっても、数十年は富士山に登れなくなってしまう可能性もある。そんなことも想像すれば、山頂付近の県境未確定地や宝永山に限らず、気になるスポットがあれば早めに登っておくのがお勧めだ。

次回、連載第9回は8/2(日)9:00公開予定です

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高橋庄太郎

たかはし・しょうたろう
山岳/アウトドアライター。1970年宮城県仙台市生まれ。高校の山岳部で山歩きを始め、出版社勤務後の2年間の無職時代には国内外のアウトドア旅へ。その後フリーランスのライターとなり、ウェブメディアや雑誌を中心に執筆活動を続けている。近年はイベントやテレビへの出演も多く、アウトドアギアのプロデュースも手掛けている。著書に『テント泊登山の基本テクニック』(山と渓谷社)、『トレッキング実践学』(ADDIX)、共著に『“無人地帯”の遊び方』(グラフィック社)など多数。

Instagram: @shotarotakahashi
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