2023.12.10
「あなたのおしっこ綺麗だね」と愛する人に言われ続けたい。だから、おしっこについて本気出して考えてみた。
ドラマ化もされた『死にたい夜にかぎって』で鮮烈デビュー。作家としての夢をかなえた著者が、いま思うのは「いい感じのおじさん」になりたいということ。これまでまったくその分野には興味がなかったのに、ひょんなことから健康と美容に目覚め……。
前回は、自宅でできるメジャーな「お灸」に挑戦。
今回は、健康チェックのバロメーターともいわれる大切な「おしっこ」について。実は著者にはずっとおしっこに関する悩みがあったようで。
(イラスト/山田参助)
第34回 あえて言おう。私のおしっこは薔薇より美しい
「あなたのおしっこ綺麗だね」と君が言ったから、今日は僕たちにとっての「おしっこ記念日」。
いろいろと怒られそうな書き出しをしてしまいたくなるほど、私のおしっこは美しい。愛する彼女がそう言っているのだから間違いない。
「ちょっとトイレまでおいで」
何やらただごとではない雰囲気で、同棲中の彼女が私を呼ぶ。ようやくの冬の到来を感じさせる十一月末の肌寒さを超える悪寒が背中に走る。トイレ掃除にどこかやり残しでもあっただろうか。
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「これ見てみ」と彼女が指差す先に、まごうことなき私のおしっこがあった。掃除のやり残しどころの話ではない。おしっこの流し忘れである。非常に恥ずかしい。
「何をするときも最後はうしろを振り返るクセをつけろって言ってるでしょ?」と、もう何度聞かされたかわからないお馴染みのお小言が始まる。溜まったマグマをひとしきり爆発させたあとで、彼女はこう言った。
「でも、おしっこほんとに綺麗になったよね。付き合い始めた頃なんて鉄サビでも入ってるんかと思うほど濁ってたもん」
それは少し言い過ぎじゃないかと思いつつ、自分のおしっこをマジマジと見つめる。確かにそうだ。以前のどす黒い赤茶色のものに比べ、今の私のおしっこときたら、透明感のあるなんとも澄み切った黄色を湛えている。
これぞまさに『限りなく透明に近いブルー』ならぬ『限りなく透明に近いイエロー』だ、なんてたとえたら村上龍に怒られるだろうか。さらに調子に乗って、布施明の名曲になぞらえて言わせてもらおう。
私のおしっこは、今、薔薇よりも美しい。
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