2023.5.28
日焼け止め、たくさん塗って、すこ～し泣いて。おじさん、日焼け止めはじめました
ドラマ化もされた『死にたい夜にかぎって』で鮮烈デビュー。『クラスメイトの女子、全員好きでした』をふくむ3か月連続エッセイ刊行など、作家としての夢をかなえた著者が、いま思うのは「いい感じのおじさん」になりたいということ。これまでまったくその分野には興味がなかったのに、ひょんなことから健康と美容に目覚め……。
前回は初めての眉毛サロンを体験し、眉毛を整えただけでく人の心も知ることができた著者。今回は夏本番に向け、初めての紫外線との闘いに挑むのですが……。
（イラスト／山田参助）
第21回 日本の夏、美容おじさんの夏、トトロの夏
とにかく人一倍丈夫な子供だった。
厳格な父親から筆舌に尽くしがたいスパルタ教育を受けていたことが影響してか、体の頑丈さといったら、学校の、地域の、いや下手すれば日本の子供の中でも群を抜いていたと思う。
ドッジボールで顔面にボールをぶつけられてもニヤリ。自転車で一回転するぐらい派手にコケてもムクリ。ヤンキーの先輩に腹パンをくらってもケロリ。そのうち「鉄男」なんてあだ名まで付けられる始末であった。
鋼鉄の体に加え、「危ないことをしない」「無理をしない」「全力を出さない」という三原則に基づいた生まれながらの小狡い性格も合わさり、私は常に安全地帯でのうのうと生きることを第一に考えてきた。
「人生を生き抜く上で一番たいせつなこと、それは自分の身は自分で守る事。すなわち防御力に他ならない」
その信念を貫いて生きてきた私が、まさか四十代になってから、自分の防御力が全く通用しない相手に出会うとは、ゆめにも思わなかった。
その相手とは〝紫外線〟である。
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お肌を健康に保つ上で避けては通れぬ道、それが紫外線対策。二〇二三年の夏を最高の夏にするために、日々のスキンケアはもちろんのこと紫外線対策にも挑戦してみよう。さあ、人生で初めて紫外線と向き合うときがやってきた。
では、そもそも紫外線とは体に有害なのか。調べてみたところ、一概にそうとも言えないらしい。適量を体に浴びることで、免疫力アップや丈夫な骨の生成に役立つビタミンＤの効果を助ける働きがあるし、同時にウイルスなどの殺菌作用にも役立つようだ。ただ、許容量以上の紫外線を浴びると日焼け、シミ、そばかす、しわ、皮膚がんなどの原因になるとのことだ。
驚いたことに、紫外線対策って一年中行う必要があるらしい。てっきり日差しの強い日や夏場にだけ気を付ければいいと思っていたのに。なんでも紫外線ってやつは、年がら年中地上に降り注いでやがるみたいだ。
しかし、美容について勉強すると、目から鱗の知識がいろいろと身に付くので実に面白い。どうせなら、小学校ぐらいから美容に関する体験学習をもっと積極的にやればいいのにな。きっと子供にも人気の授業になるだろう。
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