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畠山理仁「アラフォーから楽しむ選挙漫遊記」

コロナ禍選挙も1年以上。内閣の「支持率下落、不支持率上昇」が選挙結果に直結しないことには理由がある

コロナ禍が人類に選挙にもたらしたいい影響とは?

 新型コロナ禍で、街頭演説場所に足を運ぶ有権者の数は減っている。選挙は不要不急の外出ではない、と何度強調しても、やはり足が遠のいてしまう気持ちはわかる。
 しかし、今ほど政治の力が求められている時はない。一票を投じる先を間違えないためにも、直接候補者を見て判断したほうがいい。
 コロナ禍は人類にとって深刻な問題だが、選挙にいい影響をもたらした面もある。もっとも大きな動きとしては、「コロナ患者なども郵便投票の対象にする」という法案提出が検討され始めたことがある。
 郵便投票の拡充については、昨年4月17日、当時の安倍晋三首相の記者会見で私もその可能性を質問していた。それから1年以上の時間は経過しているが、有権者の権利を守るための法案が検討され始めたことは喜びたい。

 もうひとつのいい影響は、選挙への新規参入者が増えてきたことだ。政治の力がクローズアップされたことで、「私も政治をやってみよう」と手を挙げる人たちが増えてきた。千葉県知事選挙で8人もの候補者が立候補したこともその流れの一つだといえる。
 これには大規模な屋内集会が減ったことで、従来の組織型の選挙がやりにくくなっていることも影響していると思う。インターネットを使った選挙運動が重要度を増してきたことで、無所属の候補者も同じ土俵で戦える可能性が出てきたのだ。
 街に出なくなった有権者は、インターネットから情報を得ようとしている。自らが発信者となれるインターネットでの活動は、従来型の選挙よりも組織力や資金力の差が出にくい(もちろん差は出る)。インターネットやSNSを活用する新規参入者たちは、そこに活路を見出そうとしている。

 ただし、インターネット上の活動だけで当選する候補者はまだ現れていない。やはり、「顔と名前を一致させる」ことの大切さは変わらない。
 有権者に候補者として認識してもらうためには地道な活動が不可欠だ。そのため、従来型の運動を続けている政治家がまだまだ強いことには変わりがない。
 それでも挑戦者が現れたことで、従来の政治家も行動変容を求められている。SNSでの発信を強化する現職政治家も増えてきた。これは有権者にとっていいことだ。あとは有権者が美辞麗句に惑わされない眼力をつければ問題ない。
 ネット情報だけで判断する自信がある人も、そうでない人も、やっぱり候補者本人を生で見たほうがいい。現場に身をおいて候補者本人を生で見ると、自分自身の勘も働く。判断を誤る可能性はぐっと低くなる。
 
 競争原理が働くことで政治の質は高まる。健全な競争で、ぜひ、政治の質を高めていってほしい。もちろんそこで主役となるのは、有権者のみなさんだ。
 選挙が始まってからでは遅い。自分の決断を後悔しないよう、いまから選挙に備えて候補予定者たちをチェックしておいてほしい。

【5月29日(土)ロンブー田村淳さんと選挙の話をします】

5月29日(土)13:00〜14:55、文化放送『ロンドンブーツ1号2号 田村淳のNewsCLUB』に畠山さんがゲスト出演します。選挙のことをお話しする予定ですので、「選挙漫遊記」をテキスト代わりに、ぜひこちらもお聴きください。

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畠山理仁

はたけやま・みちよし●フリーランスライター。1973年生まれ。愛知県出身。早稲田大学第一文学部在学中の93年より、雑誌を中心に取材、執筆活動を開始。主に、選挙と政治家を取材。『黙殺 報じられない“無頼系独立候補”たちの戦い』で、第15回開高健ノンフィクション賞を受賞(集英社より刊行)。その他、『記者会見ゲリラ戦記』(扶桑社新書)、『領土問題、私はこう考える!』(集英社)などの著書がある。
公式ツイッターは@hatakezo

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