2021.2.1
踊らない! 歌わない! 戸田市議会議員選挙で、スーパークレイジー君はなぜ当選できたのか?
たくさんの子どもたちから求められ「最終日に一回だけ踊ることにしました」
スーパークレイジー君と聞くと、彼が都知事選で見せた歌や踊りのパフォーマンスを思い出す人も多いだろう。実際、街頭活動の場で「一緒に踊ってほしい」と若者からリクエストされる場面を私は何度も見た。しかし、彼はそうした申し出を丁寧に断っていた。
「今回の戸田市議選ではパフォーマンスはやらないつもりです」
当初は頑なだった。それを解きほぐしたのは、候補者を追いかけ回す子どもたちだった。
「あまりにもたくさんの子たちから『いつ踊るの』『踊って』って頼まれちゃって。だから最終日に一回だけ踊ることにしました」
選挙戦最終日の1月30日土曜日17時30分。戸田公園駅西口には子どもたちを含めて約200人が集まった。そこにスーパークレイジー君が黒塗りのベンツで到着すると歓声が上がった。音楽に合わせて一緒に踊る人もいた。どこまでがスタッフで、どこからが聴衆なのかがわからない。とにかくみんな楽しそうだ。
踊りが終わると、スーパークレイジー君は「子どもたちにもわかる言葉で」話した。
「スーパークレイジー君の絵本の会とかやったら、子どもを集める自信があるんです。たぶん、僕以上に集められる人はいないんじゃないかなーって。子どもの教育のことだったら、自分が少しは役に立てるんじゃないかと思っています。僕にも子どもがいますし。でも本当に、今回は子どもたちに助けられた選挙でした。勉強のためにいろんな選挙を見てきましたが、こんな選挙は見たことないです」
たしかに特別な選挙だった。投開票日の夜、開票所の前には中学生たちが選挙結果を見に来ていた。母親と一緒に出待ちをする10代もいた。彼らはスーパークレイジー君が当選したことを知ると、力強くガッツポーズをして家へ帰っていった。
「ちゃんと帰れよーって言ったんですけどね。やっぱりこんな選挙は見たことない」