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新型コロナ禍で「激変」した2020年の選挙まとめ。「保守分裂」「現職落選」の連鎖は2021年も続くのか?

史上最多の22人が立候補した東京都知事選。この候補者の名前を覚えていますか?(撮影/畠山理仁)
史上最多の22人が立候補した東京都知事選。この候補者の名前を覚えていますか?(撮影/畠山理仁)

変化の兆しは鹿児島県知事選から

 7月の東京都知事選挙には史上最多の22人が立候補した。しかし、現職の小池百合子は街頭での選挙運動を一切していない。「オンライン選挙のモデルを作りたい」と言って、インターネットでの動画配信を中心に据えていた。ただし、街宣車は走らせている。
 小池自身が選挙運動のために街頭に出ることはなかった。しかし、メディアは小池の「知事としての公務」を連日報道した。これが選挙運動以上の効果を発揮した。現職が強いのは、メディアの報道にも理由がある。
 有権者は「知事としてのリーダーシップを発揮している」と受け止めたのだろう。小池は前回知事選よりも得票数を増やして再選を果たした。

 この都知事選までは、ある程度、事前に予想された結果がもたらされている。しかし、徐々に大きな変化が起き始めた。それが表面化したのは都知事選翌週に投開票が行われた鹿児島県知事選挙だ。

 最近の選挙では「2期目を目指す現職は強い」というのが定説になっている。しかし、保守分裂となった鹿児島県知事選挙では、2期目を目指す現職の三反園訓が落選したのだ。
 当選したのは経産省出身の無所属新人・塩田康一。三反園に2万6700票以上の差をつけての勝利である。コロナ禍で有権者の政治家に対する視線は厳しくなり、「結果を出せない」と思われた現職が落選するケースが見受けられるようになっている。

 10月には愛知県の岡崎市長選挙でも「現職落選」が起きている。当選したのは新型コロナ対策として「1人5万円還元」を公約に戦った新人・中根康浩。しかし、この公約は議会の反対で頓挫。中根は11月20日の記者会見で「一律5万円給付」断念を正式に表明することになった。
 同じ10月に行われた富山県知事選では、5期目を目指した現職の石井隆一が落選。新人の新田八朗が当選した。

 11月には大阪市廃止・特別区設置の住民投票が行われた。新型コロナ感染症が拡大しているなか、「今やることなのか」との批判もあったが、住民投票は予定通り行われた。その後、大阪の感染者数が史上最多を更新していったことはみなさんもご存知のとおりである。

「今やることなのか」との批判もあった11月の大阪の住民投票。(撮影/畠山理仁)
「今やることなのか」との批判もあった11月の大阪の住民投票。(撮影/畠山理仁)
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畠山理仁

はたけやま・みちよし●フリーランスライター。1973年生まれ。愛知県出身。早稲田大学第一文学部在学中の93年より、雑誌を中心に取材、執筆活動を開始。主に、選挙と政治家を取材。『黙殺 報じられない“無頼系独立候補”たちの戦い』で、第15回開高健ノンフィクション賞を受賞(集英社より刊行)。その他、『記者会見ゲリラ戦記』(扶桑社新書)、『領土問題、私はこう考える!』(集英社)などの著書がある。
公式ツイッターは@hatakezo

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