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畠山理仁「アラフォーから楽しむ選挙漫遊記」
20年以上、国内外の選挙の現場を多数取材している、開高健ノンフィクション賞作家による“楽しくてタメになる”選挙エッセイ。

前回の第16回は、昨日、7月5日(日)に投開票を終えた東京都知事選挙、史上最多22名の立候補者の選挙公報などについてお伝えしました。

今回も、もちろん東京都知事選挙に関して。一人で全22名の立候補者を取材した著者だからこその選挙の裏側、あるエピソードを取り上げます。
選挙は今後も国、地方問わず続きます。すべての選挙では私たち有権者の態度が問われています。

「政策と人材のオリンピック・パラリンピック」東京都知事選挙で印象に残った演説

著者が質問した「カイロ大学の卒業証書」を報道陣に公開する記者会見に著者は呼ばれず。後日閲覧できたが小池百合子への質問機会は失われた。抽象的な言葉のフリップは毎回提示。(撮影/畠山理仁)
著者が質問した「カイロ大学の卒業証書」を報道陣に公開する記者会見に著者は呼ばれず。後日閲覧できたが小池百合子への質問機会は失われた。抽象的な言葉のフリップは毎回提示。(撮影/畠山理仁)

総額約55億円の経費をかけた東京都知事選挙が終わった

 心にぽっかり穴が開く「選挙ロス」の季節がやってきた。
 総額55億1117万6千円もの経費をかけた東京都知事選挙(6月18日告示・7月5日投開票)が終わってしまったからだ。

 私は4年に1度の都知事選を「政策と人材のオリンピック・パラリンピック」と勝手に呼んでいる。都民以外も立候補できる都知事選には全国から人材が集まるからだ。
 今回の都知事選は告示前に「盛り上がらないのではないか」と言われた。新型コロナウイルス感染症により、街頭や屋内での選挙運動が通常通りとはいかないからだ。
 だからメディアは現職が出馬表明をする前から「現職圧勝か」「危機下では現職有利」と盛んに報じた。そのため「現職の他に候補者が出ないのではないか」とまで言われた。

 しかし、私は全く別の予想をしていた。新型コロナ禍にある今ほど、政治の力が求められる時はないからだ。
 負け戦をしたくない政党は独自の候補を立てなかった。当選のしやすさで別の選挙を選んだ人もいた。しかし、私は必ず「自分がこの危機を救う」という気概をもった人たちが多数立候補してくれると信じていた。
 実際、今回の候補者は史上最多の22名となった。いずれも強い危機感を持っていた。
 山口県(竹本秀之)、愛知県(牛尾和恵)、石川県(押越清悦)、神奈川県(後藤輝樹)、千葉県(平塚正幸、内藤ひさお)からもエントリーがあった。
 一人ひとりが真剣に考えた政策を世の中に正々堂々と問い、それぞれが真剣に17日間の選挙戦を、駆けて、駆けて、駆け抜けたのだった。

 「当選」という金メダルを手にするのは、たった一人だ。しかし、結果が出るまでの戦いには、心を揺さぶる数々の好プレーがあった。忘れられない言葉があった。
 結果として、彼・彼女たちは選挙で負けたかもしれない。しかし、私は選挙期間中、「その瞬間」を見逃すまいと走り回った。

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畠山理仁

はたけやま・みちよし●フリーランスライター。1973年生まれ。愛知県出身。早稲田大学第一文学部在学中の93年より、雑誌を中心に取材、執筆活動を開始。主に、選挙と政治家を取材。『黙殺 報じられない“無頼系独立候補”たちの戦い』で、第15回開高健ノンフィクション賞を受賞(集英社より刊行)。その他、『記者会見ゲリラ戦記』(扶桑社新書)、『領土問題、私はこう考える!』(集英社)などの著書がある。
公式ツイッターは@hatakezo

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