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畠山理仁「アラフォーから楽しむ選挙漫遊記」
20年以上、国内外の選挙の現場を多数取材している、開高健ノンフィクション賞作家による“楽しくてタメになる”選挙エッセイ。


前回の第27回では、10月に行われた茨城県つくば市議会議員選挙で当選「勝手につくば大使」の直撃インタビュー!

今回は、つくば市と同じ、茨城県は古河市の市長選挙を現地取材! 11月末に投開票され雌雄は決したが、そのすさまじい戦いと盛り上がりをぜひ知っていただきたい。

「永岡桂子VS中村喜四郎」の代理戦争? 古河市長選挙、現職VS前市長の一騎打ちが熱すぎた!

古河市のある「茨城7区」といえばこの人、「無敗の男」中村喜四郎衆議院議員。(撮影/畠山理仁)
古河市のある「茨城7区」といえばこの人、「無敗の男」中村喜四郎衆議院議員。(撮影/畠山理仁)

土地の名前を聞いたら小選挙区を思い浮かべる

 土地の名前を聞いた時、あなたは最初に何を思い浮かべるだろうか。名産品だろうか。風景だろうか。それともその土地に住む知り合いの顔だろうか。

 筆者は違う。真っ先に考えるのは「衆議院小選挙区でいうと何区か」ということだ。
 選挙好きならわかってくれると思う。衆議院の小選挙区で勝ち上がる国会議員は「有権者の代表」。つまり、その土地の風土を如実に表す人物なのだ。

 11月22日、茨城県古河市で市長選挙が告示された。投開票日は11月29日。このとき、筆者の頭の中に浮かんだのは「茨城7区」の4文字である。茨城7区は全国でも珍しい選挙区だ。国政では自公連立政権が続いて久しいが、茨城7区の選挙区事情は「超特殊」だといっていい。

 茨城7区を地盤とする衆議院議員は2人いる。ひとりは2005年から自民党公認で立候補し続けてきた永岡桂子衆議院議員(比例復活当選)。もうひとりは比例復活のない無所属で当選を重ねてきた中村喜四郎衆議院議員(小選挙区当選)だ。

 普通に考えれば、自民党と連立を組む公明党が永岡氏に推薦を出してもおかしくない。しかし、公明党は一度も永岡氏に推薦を出していない。公明党は2012年、2014年、2017年の3度にわたり、無所属の中村氏(現在は立憲民主党)に推薦を出してきた。

 永岡氏は2005年の初出馬から5回当選を重ね、厚生労働副大臣、文部科学副大臣、自民党副幹事長などを歴任している。しかし、小選挙区での当選は一度もない。すべて比例復活当選で、小選挙区では中村氏に負け続けている。

 一方の中村氏は、もともと自民党で建設大臣、科学技術庁長官、自民党総務局長などを歴任し「将来の総理候補」とまで言われた人物だ。1994年に起きたゼネコン汚職事件で逮捕され、裁判の末に実刑判決を受けて服役した。出所後の2005年からは無所属の立場で小選挙区当選を重ねてきた。

 これまで立候補した選挙では「14戦無敗」。日本一強固な後援会といわれる「喜友会」の集票力に注目した公明党は、小選挙区で中村氏と協力関係を築いてきた。

 ところが、今年9月、中村氏が立憲民主党に入党したことにより、この構図は変化すると見られている。反自民色を鮮明にした中村氏を、公明党が支援することは考えにくくなったのだ。

 古河市はそんな「茨城7区」の中にある。
 はたして今回の古河市長選は、「永岡VS中村」の代理戦争になるのか? 次期総選挙を占うものになるのか?

 行ってみるまでわからないが、やはり自分の目で見ておきたい。2005年から「茨城7区」の選挙を見てきた筆者はさっそく現地へと向かった。

そして「茨城7区」のもうひとりは、自民党公認の永岡桂子衆議院議員。(撮影/畠山理仁)
そして「茨城7区」のもうひとりは、自民党公認の永岡桂子衆議院議員。(撮影/畠山理仁)
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畠山理仁

はたけやま・みちよし●フリーランスライター。1973年生まれ。愛知県出身。早稲田大学第一文学部在学中の93年より、雑誌を中心に取材、執筆活動を開始。主に、選挙と政治家を取材。『黙殺 報じられない“無頼系独立候補”たちの戦い』で、第15回開高健ノンフィクション賞を受賞(集英社より刊行)。その他、『記者会見ゲリラ戦記』(扶桑社新書)、『領土問題、私はこう考える!』(集英社)などの著書がある。
公式ツイッターは@hatakezo

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