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「東京防災オリンピック」「ベーシックインカム」……未来を予見する政策を訴えた候補者たち

2018年の沖縄県知事選挙。渡口初美候補の選挙ポスターには政策がズバリ!(撮影/畠山理仁)
2018年の沖縄県知事選挙。渡口初美候補の選挙ポスターには政策がズバリ!(撮影/畠山理仁)

ベーシックインカムは日本でも2009年から提唱されていた

 緊急事態宣言が出たことで、不要不急の外出を自粛している人も多いだろう。接触機会を減らすためのテレワークも推奨されている。
 しかし、満員電車に乗って仕事に行かなければならない人もいる。働かなければ生活できないから、外出せざるを得ないのは当然だ。
 そんな中、注目を集めている政策がある。それが「ベーシック・インカム(最低所得保障制度)」だ。

 ベーシック・インカムとは、生活に必要な最低限の費用を、乳幼児から高齢者まですべての個人に無条件で支給する制度である。
 新型コロナウイルスの感染者数が世界2位に達したスペインでは、「ベーシック・インカム」の導入が決定された。イギリスでも、ボリス・ジョンソン首相が「ベーシック・インカム」を検討する考えを示している。
 働かなくても生きていくための最低限の所得が保障されれば、仕事のために無理して外出する必要はなくなる。「自粛と補償はセットだろ」という声が高まっている日本でも、自粛要請が効果を発揮する可能性がある。

 ちなみに日本の国会で最初に「ベーシック・インカム」が話題になったのは2010年2月26日の衆議院予算委員会である。新党日本の田中康夫衆議院議員が鳩山由紀夫首相に質問したのが最初だった(肩書はいずれも当時)。田中氏は2009年8月の総選挙でマニフェストに「ベーシック・インカム」を掲げて当選していた。

 また、2018年の沖縄県知事選挙の際には、新人の渡口初美候補が「ベーシックインカム」を政策として掲げていた。
 筆者は沖縄で渡口候補に会って話を聞いているが、政策は「とにかくベーシック・インカム」に尽きると言ってよかった。それにも関わらず、メディアは選挙中にベーシック・インカムのベの字も取り上げなかった。

 選挙の当落はもちろん大切だろう。しかし、選挙は「政策の見本市」でもある。せめて、告示日くらいはどんな政策を訴えているのかを報じるべきではないだろうか。
 落選した候補が訴えた政策にも学ぶべき点は多い。それらを最初から切り捨てるべきではない。せっかくの機会なのだから、有権者も「これはいい」と思った政策を当選した候補者に提案してもいいだろう。

 そもそも、すべての立候補者は「世のため人のため」と思って立候補を決断している。良い政策はどんどんパクればいい。
 パクられて文句を言うような心の狭い人は、そもそも選挙に立候補しないのだから。

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畠山理仁

はたけやま・みちよし●フリーランスライター。1973年生まれ。愛知県出身。早稲田大学第一文学部在学中の93年より、雑誌を中心に取材、執筆活動を開始。主に、選挙と政治家を取材。『黙殺 報じられない“無頼系独立候補”たちの戦い』で、第15回開高健ノンフィクション賞を受賞(集英社より刊行)。その他、『記者会見ゲリラ戦記』(扶桑社新書)、『領土問題、私はこう考える!』(集英社)などの著書がある。
公式ツイッターは@hatakezo

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