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畠山理仁「アラフォーから楽しむ選挙漫遊記」

「東京防災オリンピック」「ベーシックインカム」……未来を予見する政策を訴えた候補者たち

2007年の都知事選で雄上候補が訴えた政策は未来を予見していた?(撮影/畠山理仁)
2007年の都知事選で雄上候補が訴えた政策は未来を予見していた?(撮影/畠山理仁)

「東京防災オリンピック」開催を提唱した候補がいた!

 今から13年前に行なわれた2007年3月22日告示・4月8日投開票の東京都知事選挙を覚えている人はいるだろうか。
 この時の都知事選には14人が立候補していた。なかでも忘れられないのが、締め切り時間ギリギリに立候補を届け出た雄上統おがみおさむ候補だ。

 なぜ印象に残っているのか。それは雄上候補が掲げた政策が、まるで未来を予見していたかのようなものだったからだ。

「オリンピックを中止し、大地震対策の『東京防災オリンピック』を開催する」
 これが雄上候補の目玉政策だった。
 防災オリンピックとは、「ハシゴ車がどれだけ速く伸びるかなど、災害対策技術を競うオリンピック」(雄上候補)だと説明を受けた。

 もし、防災オリンピックが実現していたら、当然、感染症に対する備えも競技種目の一つになっていたはずだ。東京都民がこの政策に耳を傾けていれば、今よりも危機に強い都市になっていた可能性もある。非常にもったいないことをしたのではないか。
 スーツ姿で政見放送の収録に臨んだ雄上候補は、カメラを見据えてこう演説していた。

「最近話題になっておりますオリンピックなどは、それよりも、大震災、そういうものを予想して、『東京防災オリンピック』を開催すれば良いと思うのでございます。そういうふうにして、いつ来るかわからない地震対策とか、そっちの方が急務であります」

 もう一度言う。これは2007年3月の政見放送である。同年3月25日に能登半島地震が起きる前に収録されている。4年後の2011年3月11日には東日本大震災が起きている。
 この選挙で、雄上候補は14人中10位となる4,020票で落選した。しかし、大切な視点を都民に提供していたのではなかったか。

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畠山理仁

はたけやま・みちよし●フリーランスライター。1973年生まれ。愛知県出身。早稲田大学第一文学部在学中の93年より、雑誌を中心に取材、執筆活動を開始。主に、選挙と政治家を取材。『黙殺 報じられない“無頼系独立候補”たちの戦い』で、第15回開高健ノンフィクション賞を受賞(集英社より刊行)。その他、『記者会見ゲリラ戦記』(扶桑社新書)、『領土問題、私はこう考える!』(集英社)などの著書がある。
公式ツイッターは@hatakezo

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