2020.4.13
「東京防災オリンピック」「ベーシックインカム」……未来を予見する政策を訴えた候補者たち
「東京防災オリンピック」開催を提唱した候補がいた!
今から13年前に行なわれた2007年3月22日告示・4月8日投開票の東京都知事選挙を覚えている人はいるだろうか。
この時の都知事選には14人が立候補していた。なかでも忘れられないのが、締め切り時間ギリギリに立候補を届け出た雄上統候補だ。
なぜ印象に残っているのか。それは雄上候補が掲げた政策が、まるで未来を予見していたかのようなものだったからだ。
「オリンピックを中止し、大地震対策の『東京防災オリンピック』を開催する」
これが雄上候補の目玉政策だった。
防災オリンピックとは、「ハシゴ車がどれだけ速く伸びるかなど、災害対策技術を競うオリンピック」(雄上候補)だと説明を受けた。
もし、防災オリンピックが実現していたら、当然、感染症に対する備えも競技種目の一つになっていたはずだ。東京都民がこの政策に耳を傾けていれば、今よりも危機に強い都市になっていた可能性もある。非常にもったいないことをしたのではないか。
スーツ姿で政見放送の収録に臨んだ雄上候補は、カメラを見据えてこう演説していた。
「最近話題になっておりますオリンピックなどは、それよりも、大震災、そういうものを予想して、『東京防災オリンピック』を開催すれば良いと思うのでございます。そういうふうにして、いつ来るかわからない地震対策とか、そっちの方が急務であります」
もう一度言う。これは2007年3月の政見放送である。同年3月25日に能登半島地震が起きる前に収録されている。4年後の2011年3月11日には東日本大震災が起きている。
この選挙で、雄上候補は14人中10位となる4,020票で落選した。しかし、大切な視点を都民に提供していたのではなかったか。