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スピーカー付きサングラスと書籍朗読アプリを、すべての大人にオススメしたい!

実際に1年間使ったうえでの“オススメ度”は?

しかし、それでもすぐに買わなかったのは、試聴の際の装着感がイマイチだったからです。
人間工学的に言えば、きっと平均的な欧米人の頭骨サイズに合わせて作られているのでしょう。左右のテンプルの間隔は狭く、頭のハチが大きなバリバリ東洋人骨格の僕がかけると締め付けられるような圧迫感を覚え、頭を少し動かすと、左右から押し出されるようにフレームが顔からずれてしまいました。
しかもお店の方に聞いてみると、通常のメガネやサングラスと違い、精密機械が仕込まれているテンプルに手を加えることはできず、装着感の調整はできないとのこと。
それで一旦買うのをやめました。

しかしあきらめきれなかった僕はネットで情報収集。
すると、日本の正規ルートで販売されているBose FramesはS/Mサイズのみである一方、本国ではひと回り大きなM/Lサイズも販売されていることがわかりました。
ビバ! 肥満大国アメリカ!
これだと思った僕は、並行輸入業者からM/LサイズのBose Flamesを購入したのでした。

届いたらすぐに近くのメガネ屋さんに持っていき、純正レンズから度付きレンズに交換しました。
元々のBose Framesについているレンズは真っ黒なのですが、それでは使用できる場が限られると思ったので、夜でも室内でも使いやすい薄い色付きレンズをチョイス。
完全にクリアなメガネ用レンズにしなかったのは、元がサングラスであるBose Framesのデザインには合わないと思ったからです。

装着すると、こんな感じです。
装着すると、こんな感じです。

というわけで、実はなかなか苦労しながら入手およびカスタムしたマイBose Frames。
1年間使用した身として言わせてもらうなら、コレ、少しでも興味がある人はすぐに買った方がいいと思います。
Boseが恐らくこれまでに培ったノウハウを惜しみなく投下して開発した超小型スピーカーは出力バランスが絶妙で、とても秀逸なサウンドを鳴らします。
小さなボリュームで再生しても、重低音ともに生きたナチュラルな音が耳に届くのです。

耳の穴をふさがず外の音とミックスしながら聴ける感じはやはり新鮮で、例えるなら野外ライブ会場の演奏を聴いているのに近く、サウンドの空間的広がりを感じ取れます。
山の家の生活のみで使おうと考えて買ったわけですが、あまりにも良かったため、結局のところ東京でもよく使っています。
音楽を聴いていてもちゃんと外の音が耳に入るので、自転車に乗るときにも安心。それに、お店のレジでいちいち外す必要もありません。
小さなマイク内蔵なので、電話への応答もできます。

ただし、まったく新しいジャンルの意欲作だけに、残念な点も多少あります。
M/LサイズはS/Mサイズよりも僕の頭にフィットしているものの、今度は微妙に大きすぎてやはりずり落ちがちなのです。
調整は不可なので、僕はシリコン製のメガネずれ防止グッズをテンプルに装着することによってしのいでいます。
改良型がリリースされるなら、装着感を微調整できる機能の追加が期待されます。

充電に関してもやや不満。
充電池をメガネフレームという限られたスペース内に置いているので限界があるのでしょうが、電池の減りはかなり早く、公式スペックによると、満充電から約3.5時間の使用で0%になってしまいます。
そして充電に使うケーブルが専用のものであることもイマイチ。
USB-Cなどの汎用ケーブルにしてくれたら、わざわざ一本余計にケーブルを持ち運ぶこともないのに、と思ってしまいます。

ただ、それらの欠点を打ち消してしまうほどBose Framesが革命的で、“使う喜び”をもたらしてくれるナイスアイテムであることは間違いありません。

耳をふさぐことなく音楽を聴くパーソナルガジェットとして、ワークアウトシーンなどでよく使われる骨伝導イヤホンと比較する人がいますが、レベルが違います。
僕に言わせりゃ骨伝導イヤホンのサウンドって、音楽の何か大事な部分、目黒的なサンマで例えれば、脂をすっかり削り落としたようなものと思います。
その点Bose Frameは、脂身もしっかり残った骨太サウンドを楽しむことができるのです。

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佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『オフィシャル・サブカル・ハンドブック』『日本懐かしスニーカー大全』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

ツイッター@satoseijiro

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