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家族3人5泊6日で約14万円! 意外とコスパのよいレンタルキャンピングカーの旅

東京生まれ、東京育ちの“シティボーイおじさん”が、山中湖畔に中古の一軒家“山の家”を購入! 妻、娘、犬とともに東京←→山梨を行き来する2拠点生活=「デュアルライフ」をはじめました。 音楽や読書など山の家での趣味活動から、仕事やお金のやりくりといった現実的な話題まで、 著者が実体験したデュアルライフのリアルを綴ります。 別荘暮らしが優雅な富裕層の特権だったのはもう過去の話。 社会環境や生活スタイルが大きく見直されている今、必読のライフエッセイです。 前回は、富士吉田市の“月江寺”と呼ばれるディープゾーンを散策。昭和レトロな書店や喫茶店をめぐりました。 今回は年末年始、家族3人で過ごした5泊6日のキャンピングカー旅について。きっとあなたも乗りたくなります! ぜひ、お楽しみください。

キャンピングカーは自分にとって大事なものすべてが詰まった走る玉手箱

年明けの瞬間は、家族とともにキャンピングカーの中で迎えました。
場所は栃木県矢板市の「道の駅やいた」駐車場。
周囲にはうちのほかにも数台のキャンピングカー、そして軽自動車から大型のワゴンまで何台もの車中泊組が停泊しています。
きっとそれぞれの車内では、家族や友人たち、恋人同士、あるいはひとりの人もいるかもしれませんが、思い思いに年越ししているのでしょう。
袖振り合うも他生の縁、「道の駅やいた」くんだりでたまたまお隣になった、横浜ナンバーのハイエースの中はどんな様子だろう? と勝手に想像したりします。

我が家のキャンピングカーの中にテレビはありません。
でも、モバイル環境で放送をほぼリアルタイムに視聴できる「NHKプラス」に入っていたので、タブレットとアプリを駆使する最新スタイルで、『紅白歌合戦』から『ゆく年くる年』を観るという、トラディショナルな大晦日を過ごしました。
そしてスマホが0:00:00の時刻を示した瞬間、妻、娘、犬と順にハイタッチし、「あけましておめでとー‼︎」とひと盛り上がり。

その後すぐに家族と犬はぐっすり眠ってしまいましたが、日頃から不眠傾向の僕はなかなか寝つけず、一人で車外に出て電子タバコなどふかします。
外はちらちらと雪が舞い、凍てつくような寒さ。
どこかから除夜の鐘でも聞こえてこないかと耳をすましましたが、雪の夜らしくシンと静まっていて、時折通り過ぎる車の音以外、何も聞こえてきません。

しばし遠くの雪山など眺めたあと、我が家のキャンピングカーに視線を移します。
思えば、この大きな箱の中に、今の自分にとって大事なものほぼすべてが積まっているんだなーと思うと、温かい気持ちになってきます。
キャンピングカーってある意味、走る玉手箱みたいなものなのです。

リアルな“玉手箱”の中身。常にごちゃごちゃの我が家がそのまま移動している感じ。
リアルな“玉手箱”の中身。常にごちゃごちゃの我が家がそのまま移動している感じ。

なんてことを考えていたらお尻のあたりがムズムズしてきたので、思考を逸らします。
そういえば民放各局もかつて、大晦日から新年にかけて統一番組の『ゆく年くる年』を放送していました。
チャンネルをいくら変えてもNHK以外は同じ画面が映るあの民放合同放送も、“年越しくらいはノーサイド”というスペシャル感を演出していてよかったのにと懐かしく思い出します。
調べてみたところ、民放統一『ゆく年くる年』は1988/89年の放送で終了したのだとか。

そうか、浪人生だった僕が受験を間近に控え陰鬱とした気分を抱えていたあの年、そして昭和天皇が病に臥せ、日本中に自粛ムードが漂っていたあの年の回をもって、民放版『ゆく年くる年』は終わりになったのか。
その数日後に昭和天皇は崩御して時代は平成へと移り、その数ヶ月後に僕はなんとか潜り込んだ大学に入学することになります。
そんな昔のことをしみじみと思い出したりするのも、年末年始の特別な空気感と旅情ゆえのことなのでしょうか。

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佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『オフィシャル・サブカル・ハンドブック』『日本懐かしスニーカー大全』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

ツイッター@satoseijiro

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