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爽やかな避暑地は凍てつく寒冷地。デュアルライフに向いている性格とは?

東京生まれ、東京育ちの“シティボーイおじさん”が、山中湖畔に中古の一軒家“山の家”を購入! 妻、娘、犬とともに東京←→山梨を行き来する2拠点生活=「デュアルライフ」をはじめました。 音楽や読書など山の家での趣味活動から、仕事やお金のやりくりといった現実的な話題まで、 著者が実体験したデュアルライフのリアルを綴ります。 別荘暮らしが優雅な富裕層の特権だったのはもう過去の話。 社会環境や生活スタイルが大きく見直されている今、必読のライフエッセイです。 前回は“音楽が聴けるサングラス”と書籍朗読アプリの素敵なマッチングを通じた新しい読書ライフの提案でした。 今回は、わけあって約1ヶ月ぶりに山の家へ。到着したらそこはもちろん雪景色。夏の避暑地とは、すなわち冬の寒冷地。その冬ライフを楽しめる性格の話です。

東京でやらねばならぬことがあり、しばらく遠ざかっていた山の家

2022年2月半ばのある日、約1ヶ月ぶりに山の家へ行きました。
毎年、冬場は山の家から足が遠のきがちになりますが、今回、長い間があいてしまったのには理由があります。
東京にいなければできない、あるミッションに取り組んでいたのです。

それは、剣道の昇段審査を受けること。

中学高校と剣道部だったものの、それ以降はずっと剣道から離れていた僕でしたが、2013年、昔の友人に誘われ、東京・世田谷区内の剣道場に入門。以来、体力と相談しつつもずっと稽古を続けています。
ちなみに、世の中には僕のような復帰組の中年剣士が結構いて、剣道界では“リバ剣”などと呼ばれています。

My面&小手。
My面&小手。

復帰後の2016年には、三段の段位を取得しました。
と言っても剣道をやったことがない人には、ピンとこないでしょう。
三段というのは、小さな頃からやっている人なら高校生でもとれますが、普通は大学以降でとる段位。
そしてご存じの方はご存じと思いますが、剣道って死ぬほどきつい運動なので、大学の体育会剣道部に入ってまでやろうというのはレアな人。
中学や高校で剣道部だったという並の人は、初段か二段止まりが多いのです。
だから三段といえば「俺、剣道をやっている」と、ある程度は胸を張っていい段位だったりします。

僕も三段に昇格したときは十分満足し、自分の剣道人生はここまででいいかなとも思いましたが、やがて、まあまあ体力がある今のうちにもっと上を目指したいという気持ちが芽生え、昇段の機会をうかがうようになりました。

しかし剣道界には“四段の壁”という言葉があり、これ以降の審査は非常に厳しくなります。
スピードとパワーに勝る20〜30歳代ならまだ合格の可能性は高いようですが、僕のような渋い剣道しかできなくなっている50歳代の合格率はグッと低くなります。
四段合格率は全体で30%前後とされているものの、僕の肌感覚では、中高年層の合格者はせいぜい10人に一人くらい。

実は僕の四段挑戦もこのたびで4回目となります。これまで3回も不合格の憂き目を見ているのです。
こんなに何度も落とされていると、僕も意地になってきます。取得したときはあんなに嬉しかった三段も、「お前ごときこれで十分」と烙印を押されているような気がして忌々しく、なんとしてでも四段をという気持ちが募ります。
昨秋からは道場の先生に申し出て、より身のある稽古ができる高段者中心クラスに混ぜてもらいました。
そして今年最初の審査会となる2月6日に向け、山の家でののんびりライフを返上してまでも、自分なりに厳しく稽古に打ち込んできたのです。

その結果は……。
あっさり不合格でした。
四浪決定です。無念。
いやもう本当に悔しい! どうやったら合格できるのか、わからなくなってきました。
でもオレ負けない。
5月の次回審査会に向け、ますます精進しようと思っています。

審査会の合否発表待ち。204番はなかった。
審査会の合否発表待ち。204番はなかった。
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佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『オフィシャル・サブカル・ハンドブック』『日本懐かしスニーカー大全』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

ツイッター@satoseijiro

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