2022.1.5
富士のふもとの昭和レトロ街で、ノスタルジックが止まらなくなった話
本物のディープゾーンは、細い路地の奥にあった
月の江書店で感慨にふけったあとは、同じ通りの数件先にあるカフェ「月光」でお茶をしました。

ここも古き良き雰囲気を残した建物で、内装も果てしなくレトロでおしゃれ。
薪ストーブで暖められた静かな店内でチーズケーキを食べ、アールグレイなど飲んでいたら、めちゃくちゃ和みました。
この建物は大正末期の古民家で、昭和初期に岐阜から移築されたものを改装したのだとか。
街並み散策をする人たちが一息つくための拠点となっていました。

書店とカフェのある通りの裏側には、何本かの細い路地があります。
こここそが、本物のディープゾーンでした。

リノベーションされたおしゃれな飲み屋や、地元のおやっさんたちに長年愛されていそうなスナックが立ち並び、夜になるととても賑わう場所なのだそうですが、ここらはいわゆる旧・青線。
冒頭でも言及した、昔の米兵相手の私娼街があったのだそうです。
街を歩いていると、丸い格子窓やアールのついた玄関など、趣向を凝らした建築物が目に付きます。

これは“カフェー建築”といって、かつてそういうことがおこなわれていたお店特有の意匠です。
なるほどなるほどと思ってじっくり拝見しましたが、どこも老朽化が進んでいて、風前の灯に見えます。
暗い過去なのかもしれませんが、それもまた立派な街のカルチャー史なのですから、是非ともしっかり保存したり、リノベーションして有効活用したりしてほしいなと思いました。

界隈をぐるぐると散策したあとは、表通りの国道138号線に出ました。
このあたりも古い店舗をリノベーションしたおしゃれカフェなどが並んでいます。

でも僕の目に留まったのは一軒の洋品屋。
地元の中学校や高校の制服をメインに商売をしているお店のようですが、そのマネキンがあまりにも……。


そうそう、昔のデパートなんかに並ぶマネキン人形って、どれもこれも“とんでもない外国人顔”だったよな、と思い出しました。
この顔に、中学校の制服を着せてはあかんでしょう。
これもまた、激しく昭和レトロ風ではありますが。
連載初回「東京で生まれ東京に骨を埋めると思っていた僕が、デュアルライフを選んだ理由」はこちらから。
本連載は隔週更新です。次回は1/19(水)公開予定。どうぞお楽しみに!