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CITY BOYおじさん 湖畔でデュアルライフはじめました。
東京生まれ、東京育ちの“シティボーイおじさん”が、山中湖畔に中古の一軒家“山の家”を購入!
妻、娘、犬とともに東京←→山梨を行き来する2拠点生活=「デュアルライフ」をはじめました。
音楽や読書など山の家での趣味活動から、仕事やお金のやりくりといった現実的な話題まで、
著者が実体験したデュアルライフのリアルを綴ります。
別荘暮らしが優雅な富裕層の特権だったのはもう過去の話。
社会環境や生活スタイルが大きく見直されている今、必読のライフエッセイです。

前回は、寒冷地のデュアルライフ民が直面する「家の寒さ対策」について紹介しました。
今回は、クリスマスに縁のある植物「ヤドリギ」についてのお話です。

霊力を持つ伝説の植物・ヤドリギでクリスマススワッグ作ったよ

「あれは何だ!?」山中湖の周囲でやたら目につく、まん丸な物体

この時期、山中湖の周囲を車で走っていると、落葉した冬木の枝の間に並ぶ、いくつものまん丸物体が目に入ります。
デュアルライフをはじめた当初は、「あれ、一体なんだろう?」と不思議に思いました。
東京の家の周りではまったく見かけないものですが、明らかに天然の造物。
さては、このあたりに多く棲んでいる野鳥の巣かな? と最初は思いました。

初めて見ると、ちょっと驚く
初めて見ると、ちょっと驚く

でもよく見ると、ティピカルな鳥の巣のようにぎっしり目が詰まっているわけではなく、均等に広がった枝葉の合間からは、向こう側がわずかに透けて見えます。

アップにすると鳥の巣ではないことがわかる
アップにすると鳥の巣ではないことがわかる

こんなにスカスカで不用心な巣を作り、すきま風に震えながら卵を温める鳥がいるとは思えないので、“鳥の巣仮説”は早々に却下。
はて、それでは何だろうと改めて思っていた僕に答えを教えてくれたのは、湖畔で営まれているガソリンスタンドのオヤジでした。

僕が頼んだノーマルタイヤからスタッドレスタイヤへの交換を若い衆に任せ、自分は暇そうにしているオヤジ(多分オーナー)に、あれは何ぞやと尋ねてみました。
ガソリンスタンドの横に生えている木も、例のまん丸ちゃんをたくさん抱えていたのです。
するとGSオヤジはいとも簡単に、そしてややつまらなそうに「ああ、ヤドリギね」と答えてくれました。
ほほう! 噂の! と、こちらは膝を打つ思いでした。

ヨーロッパからアジアまで幅広く自然分布するヤドリギ(宿木、寄生木)とは、土の上ではなく他の樹木の枝や幹に根を食い込ませて育つ、いわゆる寄生植物です。
この世にそういうものがあるということは、前から何となく知っていたし、もしかしたらこれまでの人生で何度も目にしていたのかもしれませんが、「あれこそがヤドリギである」と、頭の焦点が合ったのは初めてでした。

湖畔の立木にもたくさんある
湖畔の立木にもたくさんある

山中湖周辺は、ヤドリギの群生地なのです。
宿主の木の葉が生い茂る春から夏には、覆い隠されて見つけにくいヤドリギですが、主の葉がすっかり落ちる秋から冬にかけては、その存在が際立ちます。
ヤドリギの方は、一年中小さな緑の葉を広げている常緑樹なのです。

鳥がからんでいるかもしれないと思った最初のひらめきは当たらずとも遠からじで、ヤドリギの繁殖には特定の野鳥が一役買っています。
北東アジアに広く生息するとても綺麗な野鳥、ヒレンジャクとキレンジャク。
北からやってきて日本列島で越冬する彼らは、ヤドリギの果実を好んで食べるそうです。

ヤドリギの実は粘り気のある果汁で満たされていますが、ヒレンジャク・キレンジャクは果汁のネバネバ成分も種も消化せず、そのまま排出。
ネバネバうんちに含まれる種子は地面に転がり落ちることを免れ、落ちた枝の上にそのまま張り付きます。
そしてそこで根を張り、まん丸に成長していくそうです。
自然って、ホントによくできていますね。

ヤドリギの実
ヤドリギの実
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佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『糖質制限の真実』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『STUSSY2017 FALL/HOLIDAY COLLECTION』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

ツイッター@satoseijiro

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