2021.3.3
山の家でたった一人過ごす夜。Netflixでつい『シャイニング』を観ちゃう現象
仕事が立てこんでしまったら、にっちもさっちも行かなくなる前に駆けこむ山の家
少々手のかかる原稿仕事がいくつか重なったので、先日、山中湖村の家に一人でこもることにしました。
胸を張って言わせてもらいますけども、僕はこれまで一度も原稿の締め切りを破ったことはありません。
現在のメイン仕事はライター業ですが、もともと編集者ですので、ないがしろにされる側の切なさをよく知っているからです。
さすがに今回はヤバいぞというときには、早めに“自主缶詰”をして切り抜けることにしています。
でも4年間のデュアルライフ生活で、過去にそこまでの状況に至ったのは2回だけ。
今回は2年ぶり3度目の自主缶詰となります。
山の家には生活用具一式や着替え、それに東京のメイン機とiCloudでつながっている予備のMacBookもあります。必要最低限の資料だけを小さなカバンに詰め、出発の準備は完了しました。
予定は水曜から金曜までの3日缶詰コース。土曜日には妻&娘と山の家で合流する計画です。
一人きりの時間が3日もあれば、焦げつきかけている仕事は余裕でやっつけられるはずです。
では出発しようかな、と思っていると妻が言いました。
「クウちゃんを連れていきなよ」
クウちゃんとは我が家の愛犬。ヨークシャーテリアとトイプードルのミックス犬です。
「ええー。集中して仕事したいんですけどー」
「相棒がいた方が気晴らしになるでしょ」
むむ、確かに一理あるような気もします。

初日は仕事を昼過ぎからはじめましたが、誰にも邪魔されない環境は快適で、原稿が非常にはかどります。
道中のコンビニで買いこんだ冷凍食品などで適当に食事を済ませつつ、ひたすらパソコンに向かい、気づけば夜10時。
そのとき、僕は自分の心に湧き上がりつつある感情に気づき、キーボードを打つ手をはたと止めました。
静かだな……。なんか寂しい……。
東京の家はもちろん、山の家に来るときは、いつも周りで家族がワイワイしています。今回はそんな環境を避けるためにあえて一人で来たのですが、夜がふけてくると、何とも言えない寂寞感に襲われたのです。
過去2回の自主缶詰を含め、一人でここの家に泊まることは何度かありましたが、これほどの孤独を感じたのは初めてでした。
今までの単独行は、たまたま春・夏・秋の行楽シーズンに重なっていました。
我が山の家の向かいは一棟貸しのペンションなので、ハイシーズンは夜遅くまで、泊まり客がバーベキューをやっていたりして、山の家とはいえ人の気配を感じます。
思えば、こんなに静かな冬のオフシーズンに、一人で山の家に来たのは初めてだったのです。
