よみタイ

デジタル武装していれば、デュアルライフでも仕事は身軽に楽々と!

東京生まれ、東京育ちの“シティボーイおじさん”が、山中湖畔に中古の一軒家を購入! 妻、娘、犬とともに東京←→山梨を行き来する2拠点生活=「デュアルライフ」をはじめました。 音楽や読書など山の家での趣味活動から、仕事やお金のやりくりといった現実的な話題まで、 著者が実体験したデュアルライフのリアルを綴ります。 別荘暮らしが優雅な富裕層の特権だったのはもう過去の話。 社会環境や生活スタイルが大きく見直されている今、必読のライフエッセイです。

憧れのノマドワークを卒業し、自宅の自室にこもって原稿書きする毎日

雑誌編集者として勤めていた出版社を40歳のときに辞めた僕は、フリーランスの編集者兼ライターです。
現在は、編集仕事は2〜3割で原稿執筆の仕事の方が多くなっています。
これは独立したときに立てた計画どおり。
本当は50代になる頃には物書き一本に絞るのが理想だったのですが、これまでの付き合いや生計上の都合もあり、依頼さえあれば編集仕事もありがたく受けている状態です。

上手い下手はさておき子供の頃から作文が好きだった僕にとって、原稿書きは仕事のようで仕事ではない感覚。
好きなことをやっているだけなのにお金までいただいて、お天道様に申し訳ないと思うことさえあります。
と言ってもたいして稼げているわけではないので、もっとドシドシお仕事ください(ギャラも弾んでください)。
なんて、矛盾している上に誰に向けたメッセージかわからないことを言っても仕方ありませんね。

パソコンひとつあればいつどこでもできるわけですから、ライターは気楽な稼業ときたものです。
だから原稿仕事の割合が増えてきた頃、僕は憧れのノマドワーカーを目指しました。
小学生の娘と会社員の妻を家から送り出したあと、愛機のMacBookを携えて近くのカフェに向かうのです。
自宅のある東京・世田谷区の田園都市線沿線にはノマドワーカー向きの洒落たカフェがたくさんあり、そこには水場を求める野生動物のごとく、界隈に数多く棲息する僕のような一見、職業不詳の怪人が集まってきます。

でも、僕のノマド生活は長続きしませんでした。
人の出入りが多く、常にざわついているカフェでは集中できず、一向に筆が進まないのです。
かといって、席数が少なく静かな隠れ家的カフェではスタッフの視線が気になり、すぐに居心地が悪くなってきます。
ノマドワークは長くても二時間が限界。結局、昼前にはすごすごと自宅に戻ります。

やがてアホらしくなってきて、ノマドワークは卒業しました。
今の僕は、妻と娘を送り出したらすぐに二階の自室にこもります。
集中しやすいアンビエントミュージックを小さな音でかけ、好きなお香を焚き、快適なリクライニングチェアに座り、かわいい犬に時々ちょっかいを出して和みながら仕事を進めます。
結局、自宅が最高のお仕事空間なのです。

東京の自宅のワークスペース。ゴチャゴチャだけど快適。
東京の自宅のワークスペース。ゴチャゴチャだけど快適。
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佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『オフィシャル・サブカル・ハンドブック』『日本懐かしスニーカー大全』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

ツイッター@satoseijiro

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