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ザ・スタークラブHIKAGEが見た1989年の東京と、独自のパンクシーンが発達した地元・名古屋のこと

「挑戦する気持ちにさせてくれるのが、名古屋でのライブなんです」

 それから34年、HIKAGEはずっと東京で暮らし、バンド活動を継続してきた。今は地元の名古屋について、どんな思いを持っているのだろうか。

「あのとき、拠点を名古屋から東京に移したのは正解だったと思います。
 でもやっぱり自分にとっては地元なんで、名古屋でのライブは今も気が楽。知り合いが多く、ホームパーティーみたいな気分になるし、失敗しようが何だろうがもういいやって。“気楽”って言っちゃうとファンには失礼に聞こえるかもしれないけど、実際のところ我が家でやるような感覚なので、普段は見せられないところをさらけ出してもいいっていう気持ちなのかな。失敗も許される気がするから、新しい挑戦をする気にさせてくれるのが、名古屋なんです」

 昨年そして今年と、地元名古屋のライブハウスで、“THE STAR CLUB 80’s SPECIAL”という名前で後輩バンドの周年イベントに出演した。
 HIKAGE以外のこの日のザ・スタークラブメンバーは、LOU(1982-1989年に在籍した4代目ギタリスト)、EDDIE(1977-1983年に在籍し、原爆オナニーズに移籍した初代ベーシスト)、NO-FUN-PIG(1980-1985年に在籍した4代目ドラマー)という80年代のメンツ。演奏するのもすべて、1980年代に演奏した楽曲に限るという徹底ぶりだ。
 ただし、今年8月におこなわれた “THE STAR CLUB 80’s SPECIAL”はNO-FUN-PIGがライブ前々日にコロナを発症してしまったため、急遽、中村達也が代理でドラムを叩いた。中村達也も1985年から1986年にかけてザ・スタークラブに在籍した5代目ドラマーなのである。

(撮影/木村琢也)
(撮影/木村琢也)

「80’sスペシャルで演ったのは単純な理由で、去年、ブッキングをもらった際に、現メンバーのTORUxxx(5代目&11代目ギタリスト)のスケジュールが合わなかったので。だったら名古屋だし、地元の昔のメンバー集めてやってみようかとなったんです。
 NO-FUN-PIGが急にダメになったから、たまたまその日だけスケジュールが空いていたタツヤに、無理を言って来てもらいました。あいつも前日は吉祥寺、翌日は甲府でライブがあるっていうのに駆けつけてくれて。感謝でしたね」

 HIKAGEを中心に離散集合してきた地元・名古屋のパンクミュージシャンが、長いときを経て再び同じステージに立つ。懐かしい曲ばかりが披露されたそのライブは、名古屋の昔からのファンにとっても、至福の時間だったに違いない。

以下、第3回へ続く。9月28日配信予定です。お楽しみに!

【プロフィール】
ヒカゲ/1959年生まれ、愛知県名古屋市出身。
1977年、名古屋でHIKAGEを中心に結成したザ・スタークラブのヴォーカル。
現メンバーは、HIKAGE(ヴォーカル)、TORUxxx (ギター)、HIROSHI(ベース)、MASA(ドラムス)。
1977年、名古屋でHIKAGEを中心に結成。後のインディーズ・ブームに先駆けて1980年1stミニ・アルバム発表。1984年、徳間ジャパンからメジャー・デビューするまでインディーズ・チャートを独走する。
1986年、ビクターへ移籍後、2003年にスピード・スター・ミュージック、
2004年にクラブ・ザ・スター・レコーズ、そしてノートレスとレーベルを移しながら、年ごとの新作発表及び全国ツアーと絶え間ない展開を現在まで続けている。
2023年、バンド結成47年目を迎える今も、止まる事なく走り続ける、唯一無比の日本のパンク・ロック・バンド。

公式X(旧ツイッター):@thestarclub
公式HP:ザ・スタークラブ公式HP

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佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『オフィシャル・サブカル・ハンドブック』『日本懐かしスニーカー大全』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

ツイッター@satoseijiro

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