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ラフィンノーズのチャーミーは“ファッションパンク”の鏡。全財産を注ぎ込むほどのめり込んだブランドとは?

自分の感覚で“これだ!”と思ったことには、思い切り飛び込んでいく

 エディ・スリマンがデザイナーを務めるセリーヌは、世界的な高級ブランド。普通の人ではなかなか手が出せないような価格帯の服が多いはずだ。
 チャーミーの懐事情はわからないが、こちらが聞くまでもなく話してくれた

「エディの服に使っているのは、全財産です。もうお金が入ったら、すべてをエディに突っ込んでますよ。エディの服を着るうえで一番大事なのは、自分にぴったりのサイズ感を大事にすることなんですけど、俺のサイズが正確に分かるまでに100万円ぐらいはゆうにかかったからね。
 お店では、いいなと思ったらまずサイズを確認して、羽織ってみる。それで『めっちゃかっこええ! これ欲しい!』と思っても、値札を見て『……ちょっと今は無理』ってなることももちろんあるよ(笑)。そんなときは店員さんに『これ、置いといて。隠しといて』と言って、次にお金が入ったら買いにくる。この繰り返しです。
 ライブでよく履いているレザーパンツもセリーヌです。ライブで使うと、結構傷んじゃうけどね。でも、さすがそこはハイブランドで、ちゃんと直してくれるのもいいところ」

 セリーヌとエディ・スリマンについて語るチャーミーは、さらにヒートアップしていった。

「セリーヌのショップはいろいろなところに行ったけど。有楽町の阪急メンズ館のスタッフの子とすごく仲良くなって。向こうも、アゲアゲで勧めてくるんです(笑)。最初は『この革ジャンどうですか? 似合いますよ。これ、キムタク親子が着てますよ』とか言われたんだけど、『は? そりゃがっかりやわ。その時点でないわ』って反応したら、次に行ったときは『このTシャツはどうですか? これ、ストーンズのミック(の柄)もあるんですよ』とか、『小山さん、まるでゲンズブールっす』って。向こうもだんだん勉強してるの(笑)。
 それで俺が試着して『どや。めっちゃかっこよくない?』って言うと、『超かっこいいっす! 周りのお客さんも見ていますよ。あそこのお客さんが、かっこいい人だなって言ってますよ!』って言うから、『そりゃそうやろ。かっこええやろ。でも今は買われへん。そこそこ高い。ちょい隠しといて』って(笑)」

「ゲンズブール博物館のために今はフランスにいきたい」。好奇心と行動力も変わらない。(撮影/木村琢也)
「ゲンズブール博物館のために今はフランスにいきたい」。好奇心と行動力も変わらない。(撮影/木村琢也)

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 ここまで熱く語るが、実はここ数シーズンは、以前ほど触手が動かなくなってしまったとも言う。全財産を投入するほど思い切りハマった結果、欲しいアイテムはほぼ揃い、そろそろ卒業なのかもしれないのだとか。
 その代わり、今のチャーミーにとってもっともワクワクする話題が、第1回目に触れた“食”についてなのだそうだ。

「『この情報はやべえな』ってなったら、俺は完全に没入するんです。自分の感覚で“これだ!”と思ったことには、泥沼でも何でも思い切り飛び込んでいきます。飛び込むに値するものかどうかは、本能で嗅ぎ分けてます。“竈門炭治郎”じゃないけど、臭うんすよ。
 くんくんと匂いを嗅いで、これだと思ったら次の瞬間にはまず飛び込む。そして飛び込むから、いろいろなことがだんだん見えてくる。韓国ロックのときもそうだったし、エディのときもそうだった。今の“食”もそう。そういうときって、自分にとって本当に必要な情報を得ようとして研ぎ澄まされた状態になっているから、絶対にライブのパフォーマンスにも影響が出ているんですよね。ポンが言うように」

以下、最終回の第4回へ続く。7月21日配信予定です。お楽しみに!

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ドキュメンタリー「ラフィンノーズという生き方」

2011年、結成30周年時に制作・放送されたラフィンノーズ初の公式ドキュメンタリーフィルム。50歳時のチャーミー、そして当時もライブで全国を回るバンドの姿をぜひご視聴ください。

【プロフィール】
チャーミー/1961年6月21日生まれ、宮城県気仙沼市出身。
1981年12月に大阪で結成したパンクロックバンド「ラフィンノーズ」のヴォーカル。
83年12月、自ら立ち上げたインディーズ・レーベル「AA RECORES」よりファーストシングル『GET THE GLORY』をリリース。84年11月、ファーストアルバム『PUSSY FOR SALE』をリリース。85年11月、VAPよりアルバム『LAUGHIN’ NOSE』、シングル『BROKEN GENERATION』でメジャーデビューを果たすも、レコード会社の移籍、メンバーの脱退などもあり1991年に一度解散するも、1995年に再結成。以後、結成40年を超えた今も精力的なライブ活動を続けている。

その他最新情報は下記でチェックを!
公式ツイッター:@LaughinNose_
ラフィンノーズ オフィシャルHP

【撮影協力】
WONDER YOYOGI PARK
東京都渋谷区富ヶ谷1-8-7 飯島ビル2F

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佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『オフィシャル・サブカル・ハンドブック』『日本懐かしスニーカー大全』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

ツイッター@satoseijiro

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