2019.10.20
南無阿弥陀仏=永ちゃんコール? 念仏とはライブの声援である
日本の仏教の宗派の中では浄土宗や浄土真宗、踊念仏で有名な時宗などが「南無阿弥陀仏」と称えることで知られている。
よく「浄土宗と浄土真宗はどう違うの?」と言われるので、大きな違いだけ説明しておくと、南無阿弥陀仏に込める感情が違っているのだ。
浄土宗は「マジ阿弥陀仏、助けてくれぃ!!!!」であるのに対し、浄土真宗は「マジ阿弥陀仏、ありがとう!!!!」。つまり、「ヘルプミー」と「サンキュー」の違いだ。
コンサートでも、「ああああ永ちゃん、マジ俺を救って!!!!」という人もいれば、「ああああ永ちゃん、マジありがとう……」という人もいるだろう。でも、声にするのは同じ「永ちゃん!永ちゃん!永ちゃん!永ちゃん〜〜〜〜〜〜!!!!!」である。ライブのコールが念仏に聞こえてくる僕の気持ち、だんだんと分かってきました?
ちなみに、木魚を叩きながらの念仏を聞いたことがある人もいるかと思うが、あれはより称えやすくするために、リズムをつけるためのものだ。ライブ中にやる手拍子みたいなものである。
なぜ名前を呼ばずにいられないのか
コンサートにおけるファンとアーティストの関係。僕らと阿弥陀仏の関係。そして、両者をつなぐ名前のコール。念仏の構造は現代のカルチャーの中にも垣間見ることができる。
なぜ尊い存在の名前を僕らは呼びたくなるのだろうか。なぜ“高まり”を感じたとき、僕らは名前を呼ぶのだろうか。そして、そこにはどんな感情が備わっているのだろうか。ちっぽけでどうしようもない自分だけれど、これまで尊いあなたに支えられ、あなただけを信じて生きてきた。そんなあなたに少しでも近づきたい、感謝を伝えたい。そんな思いが、名前を呼ぶという行為にこめられているのは間違いない 。
もしかすると、あなたの言う「TAKAHIRO〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!」は「南無TAKAHIRO仏」なのかもしれない。今度コンサートで推しの名前を叫ぶとき、ぜひ「南無」の二文字を思い出してみてください。もしお寺で南無阿弥陀仏と唱えている僧侶を見かけたら、推しに「阿弥陀〜〜〜〜〜!!!!」とコールを捧げていると思ってくれて問題ないです。南無。