よみタイ

稲田ズイキ「罰当たりなほどにユルくてポップな仏教トーク」
坊主なのに煩悩まみれ。
そんな俗世と浄土を行き来する、ユル〜い僧侶・稲田ズイキがお届けする仏教トーク。
聞いたことはあるけど詳しく知らない仏教の知恵を、罰当たりなくらいポップにわかりやすく変換していきます。

なぜ仏像の髪はブツブツなの? 仏のキャラデザの謎を説明してみた

皆さん、思い出してみてほしい。

お寺を訪れて、初めて仏像を眺めたときのことを。

遠足で行った奈良の大仏、近所のお寺の仏像……。
それぞれがそれぞれのやり方で、仏像と出会っているはずだ。
仏縁とラブストーリーは突然にやってくるものである。

仏像との記念日が思い浮かんだら、第一印象を思い出してみてほしい。
「わ〜!ありがたい〜」や「なんか見ていると落ち着く……」といった、あるあるな感想よりも速く、脳裏によぎったものがあったのではないだろうか。

寺に入る。センターになんかヤバい像が立ってる。
うわ、なんか、ヤバい。あれ、ウルトラマンか? ここはウルトラマン記念館なのか? あ、いや、違うな……。もっとヤバいやつだ。
ん? あ〜〜〜〜!あ〜〜〜〜!髪!!!髪が!!!!!髪がヤバい!!!!!!!パーマ?? パーマヤバい!!!じいちゃんのパンチパーマどころじゃない!!!!ブツブツ!!!ブツブツが!!!!!なにあの髪!!!!!髪ィ!!!!!!!!!

そう、こんな風に、出会いは「髪、ヤバい。」で終わったはず。
もしくは「耳、長い。」で終わった人もいたかもしれない。
なんにせよ、ファーストインプレッションのパンチ力が強すぎる。
人知を超えてしまったパンチパーマが、そこにはあるのだ。

若干、「初見の髪のインパクト」を誇張しすぎた感があるし、実際そんなに気にならなかった人も多いかもしれない。
ただ、今回はこの「髪」こそがメインテーマなので、ご容赦いただきたい。
ラブストーリーだって、多少のご都合主義はつきものなのだから。

さて、今回はどうしても気になってしまう、仏のヤバい髪こと「螺髪らほつ」の話をさせてください。
(「らはつ」とも言うが一般的には「らほつ」と読むことが多い)

螺髪(らほつ)とはなんなのか?

ぶっちゃけて言うと、寺生まれで、お家に仏像が並んでいる環境で育った僕も、中学生くらいまで「仏」の存在を「宇宙人」だと思っていた。

だって、あのフォルム。表面がブツブツしていて、頭頂部に盛り上がりがあって(おまけに耳が長いって)……。
完全に『スター・ウォーズ』か『ファイブスター物語』の住人じゃないですか。
無礼を承知で言うけど、悟り開く前に縮毛矯正した方が……(おっと、誰か来たようだ)

そんな宇宙人のような髪型「螺髪」。

実はそのルーツはお経にある。
それが、「三十二相八十種好さんじゅうにそうはちじっしゅこう」である。

「なんか難しそう」と思われるかもしれないが、「仏とはこういう特徴がある」という説明、いわば「仏のキャラデザの定義」である。

林家パー子だったら、「ピンク」「カメラ」「奇声」と特徴が挙げられるみたいに、仏さまも32個のわかりやすい特徴「三十二相」と、80の細かい特徴「八十種好」で構成されているのだ。
基本的にすべての仏像・仏画はこれに倣って作成されているのだそう。

例えば、一部を紹介すれば、「足下安平立相そくげあんぴょうりゅうそう」といって、足に土踏まずがない「扁平足」が仏の特徴として挙げられたりしている。扁平足の僕、自己肯定感ガン上がりである。

他にも、「四十歯相しじゅうしそう」といって40本の歯を有していたり(普通の人は32歯)、「金色相」といって身体が黄金色に輝いてたり、「おいおい、超人か? サイヤ人か?」と疑ってしまう特徴も存在する。

その三十二相にある一つが、「毛上向相もうじょうこうそう」。
すなわち「体の全ての毛の先端が全て上になびき、右に巻いている」状態を表現したものだ。それが螺髪である。

・体の全ての毛の先端が全て上になびく
・右に巻いている

もう言うまでもないだろうが、とてつもない天パである。
髪だけではない。仏さまは、腕毛からすね毛から、すべての体毛がありえない角度のカールをしていることになる。やばい。

さらに、三十二相の中には「一一孔一毛生相いちいちくいちもうしょうそう」という特徴があり、
・身体の毛穴にはすべて一毛が生えている
・その毛穴からは香りが放出されている
・毛の色は青瑠璃色
と説明されているので、誤解を恐れず言わせてもらうと、仏さまは、

いい匂いがする全身毛だらけの青毛カールおじさん」ということになる。(絶対に誤解をしないでください!)

とはいえ、残念ながら、仏さまの髪以外の体毛が仏画や仏像で表現されることはない。(少しホッとした自分がいる。)

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稲田ズイキ

いなだ・ずいき●僧侶。1992年京都の月仲山称名寺生まれで現・副住職。同志社大学を卒業、同大学院法学研究科を中退、その後デジタルエージェンシー企業インフォバーンに入社。2018年に独立し、寺に定住せず煩悩タップリな企画をやる「煩悩クリエイター」として活動中。コラム連載など、文筆業のかたわら、お寺ミュージカル映画祭「テ・ラ・ランド」や失恋浄化バー「失恋供養」、煩悩浄化トークイベント「煩悩ナイト」などリアルイベントを企画しています。フリースタイルな僧侶たちWeb編集長。Twitter @andymizuki
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竹内佐千子

たけうち・さちこ●漫画家。おっかけ対象が男子で恋愛対象が女子のレズビアン。
自身の恋愛体験を描いたコミックエッセイをはじめ、おっかけ、腐女子、などをテーマにしたコミックエッセイを描き続け、最近はストーリー漫画も描いている。
赤ちゃん本部長』(講談社)、『生きるために必要だから、イケメンに会いに行った。』(ぶんか社)など。
ホームページhttp://takeuchisachiko.jp/
Twitter @takeuchisachiko

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