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佐藤誠二朗「グリズリー世代のバック・トゥ・ザ・ストリート」
グリズリー……それは北アメリカ北部に生息する大きな灰色のヒグマの名であると同時に、白髪交じりの頭を形容するスラング。頭にちらほら白いものが目立ち始める40~50代を、アラフォー、アラフィフといってしまえば簡単だけど、いくつになってもオシャレと音楽が大好きで遊び心を忘れない彼らを「グリズリー世代」と名付けよう――
そんな思いを胸に、自身もグリズリー世代真っ只中の著者がおくる、大人の男のためのファッション&カルチャーコラム。

無印良品の白無地Tシャツはいい! というあっさりしていて本質的な話

そろそろ白Tシャツのことを書かねばなるまい。
まあ、誰にも頼まれてはいないけど。

いまに続く白Tシャツの起源は、第二次世界大戦中のアメリカ軍支給品だったと言われている。
でも軍の白Tシャツはあくまでも下着。それを見せるファッションにしたのは、戦後の南カリフォルニアに登場したバイカーズだった。
帰還兵を中心メンバーとする不良暴走集団であった彼らは、社会の常識に背を向ける姿勢を表現するため、ライダースの下に着た白Tシャツをあえて見せつけたのだ。

同時期、若き大スターであったジェームス・ディーンも、映画『理由なき反抗』で、赤いドリズラージャケットの下に白Tシャツを合わせるスタイルで一世を風靡する。
こうして白Tシャツはジーンズとともに、反逆心を持った若者の象徴となる。

しかし白Tはその後、老若男女問わずに着られるきわめて普遍的なファッションへと変わっていく。
1960年代に登場したヒッピーたちが、反戦・反核・自然回帰など自分たちの主義主張を表現するため、メッセージプリントTシャツを発明したからだ。

より直接的なメッセージTシャツの登場によって、白Tシャツ=反逆の証という旧来のイメージは薄れていった。

長めのトレンド期にある白Tシャツ。選択肢は無数だが一押しは無印!

白Tシャツに流行り廃りなんてなさそうに思えるが、やはり時代の空気を反映して着用者が増える時期とあまり見かけない時期がある。

ノームコアの流行があった2013〜14年あたりからは比較的長めのトレンド期に入っていて、夏になると白Tシャツを着る人が増殖する。

僕もここのところ、毎年必ず新しい白Tを買っている。定番からちょっと尖ったブランドまで、いろいろ試したすえに、昨年と今年は連続して同じものを買った。

ああでもないこうでもないと長い前置きをしたのは、それが無印良品のクルーネックTシャツだからだ。
「無印の白Tシャツがいい!」なんてあまりにも今さらなうえにあっさりしすぎた話。でも、やっぱり最高なので書いておかなければと思った次第である。

無印の白Tシャツの良さを言葉で説明するのは難しい。ワインやタバコのお気に入り銘柄について、「どうしてそれが好きなのか」と尋ねられても困るのに似ている。

うまくは説明できないが、オーガニックなインド綿のムラ糸生地を使ったその白Tは、とても柔らかな肌触り、ナチュラルな質感、奇をてらわないシルエットなど、どれをとってもいまの僕にはベストと思えるのだ。

お値段も1490円と手頃なので、ぜひお試しを。

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佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『糖質制限の真実』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『STUSSY2017 FALL/HOLIDAY COLLECTION』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

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