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佐藤誠二朗「グリズリー世代のバック・トゥ・ザ・ストリート」
グリズリー……それは北アメリカ北部に生息する大きな灰色のヒグマの名であると同時に、白髪交じりの頭を形容するスラング。頭にちらほら白いものが目立ち始める40~50代を、アラフォー、アラフィフといってしまえば簡単だけど、いくつになってもオシャレと音楽が大好きで遊び心を忘れない彼らを「グリズリー世代」と名付けよう――
そんな思いを胸に、自身もグリズリー世代真っ只中の著者がおくる、大人の男のためのファッション&カルチャーコラム。

一家に一台あったラベルメーカー=ダイモのビンテージモデルがかっこいい

ダイヤル式の文字盤からひとつを選び、ハンドルをカチリと握って圧をかけ、プラテープ上に文字を浮き上がらせる。
超アナログシステムのラベルメーカー・DYMO(ダイモ)。

本来の実用的な役割は、テプラに代表される小型ワープロタイプにお株を奪われて久しいが、ダイモの独特なたたずまいや操作法、生み出されるラベルの雰囲気は、他に代え難い。フィルムカメラやヴィニールレコードにも似た、アナログの味わい深さがあるのだ。

1950年代後期にアメリカで開発されたダイモ。当時から日本でも輸入販売され、定番文具として普及したのだそうだ。
デジタル系に押されてあまり見かけなくなった時期を経て、じわじわと人気が復活。
爆発的なブームとなることはなかったものの、今でも根強く支持されている。

若い子にとって、ダイモはレトロでおしゃれな雰囲気を放つ“いにしえの道具”だろう。
だが我々グリズリー世代にとっては、昔から一家に一台はあった、懐かしくもなじみ深いアイテム。

僕はこのダイモで打ったラベルの文字が好きだ。
書体も級数も選べず、物理的に打刻される文字に融通性はなく、しかも妙に字間が広い独特の文字列になったりするが、それもこれも含めて愛おしい。

アルミテープに文字を打刻できる、フィフティーズデザインの初代ダイモ

我が家では、M-1585という旧型(すでに廃盤)を長年愛用している。
そしてもう一台、さらに旧式のものを最近ヤフオクで落札した。
いかにもレトロな、DYMO-MITEというモデルだ。

実はこのDYMO-MITEシリーズ、もっとも初期型のダイモなのだそうだ。そう言われてみるとピカピカに光る金属とか、曲線的なデザインとか、1950年代っぽい雰囲気を醸し出している。

M-1585を持っているのにもかかわらずこれを買った理由はひとつ。
アルミラベルに文字を打ちたかったからだ。現行品でもM-1011というアルミに打刻できるタイプはあるが値段が高く、それに道具としての雰囲気はDYMO-MITEの方が断然勝っている。

最初期型がアルミに打刻できる理由は、もともとダイモという商品が園芸用品だったから。つまり、屋外用ラベルをつくる目的で開発されたものだからなのだとか。
それを家庭用に落とし込み、プラスチック製のラベルを発売したことから、世界的なヒット商品になっていったのだそうだ。

文字を打刻したアルミテープは、ドッグタグや工業製品のようにソリッドな雰囲気で、めちゃくちゃかっこいい。
正直言えば、ラベルを貼る機会って実はそんなにないから2台も必要ないんだけど、それでも僕はこれからもずっとダイモを愛し、使い続けようと思っている。

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佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『糖質制限の真実』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『STUSSY2017 FALL/HOLIDAY COLLECTION』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

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