よみタイ

稲田ズイキ「罰当たりなほどにユルくてポップな仏教トーク」
坊主なのに煩悩まみれ。
そんな俗世と浄土を行き来する、ユル〜い僧侶・稲田ズイキがお届けする仏教トーク。
聞いたことはあるけど詳しく知らない仏教の知恵を、罰当たりなくらいポップにわかりやすく変換していきます。

8月に入り、うだるほどの猛暑。暑さを和らげるにはどうすればいいのか。暑さに対する仏教の知恵・考え方を今回はお伝えします。

猛暑を仏教的に乗り越えようと考えたら、結論は「竹になること」だった

暑い。暑いですよね。文句なしに暑いです。
一歩外に出ると「もうやだ〜〜〜〜〜」ってサゲな気持ちが爆発しちゃうそんな毎日。

でも、もしかしたら「暑いこと」と「苦しいこと」は本来は別なのかもしれません。
仏教的に言えば、苦しみの原因は「思い通りにいかないこと」。
ブッダ曰く、「人生は誰だって思い通りにいかない一切皆苦いっさいかいく)」なのです。マジかよ。

そこで、そんなどうにもならない暑さを少しでもクールに乗り切るためのショートストーリーを考えました。

その名も「三千世界で一番熱い夏」。

※「三千世界(三千大千世界)」:仏教用語で「宇宙」のことをいう

それはきっと夏のせい

うだるような暑い夏の夜だった。

今思えば「あいつ」との出会いは、夢だったのかもしれない。
まるで打ち上げ花火みたいに、パッと光って咲いて。
そういえば、あいつは自分のこと「夏の精」と言ってたっけ……。

これはある猛暑日に僕が体験した、世界で一番熱くてウィンブルドンな日の出来事。

とある熱帯夜での出会い

暑い

ワンルームマンションに一人。ベッドの上で、思わず言葉が出た。

もっと言葉を尽くすならば、「ハッ…ハッ…アッー!アーツィ!アーツ!アーツェ!アツゥイ! ヒュゥー、アッツ!アツウィー、アツーウィ!アツー、アツーェ! すいませへぇぇ~ん!アッアッアッ、アツェ!アツェ!アッー、熱いっす!熱いっす!ーアッ! 熱いっす!熱いっす!アツェ!アツイ!アツイ!アツイ!アツイ!アツイ!アー・・・アツイ!」と言うべきだった。

言葉にするのも嫌になるくらい、それでも言葉にせざるを得ないほどの暑さ。
故障したエアコン。サウナになった自室。身体にまとわりつく汗。甲冑のように重くなったパジャマ。

あああああああああ〜〜〜〜〜〜もう嫌〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜南極で白くまと一緒に白くまアイスバー食べたい〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

と酷熱に思考が炎殺されたとき、部屋の中に声がこだまする。

「……になろうよ」

え、何事。その声はエコーのようにだんだんと大きく部屋に響き渡っていく。

「みんな、竹になろうよ……」

た、竹!?!? と、もはや状況にツッコミは間に合わない。

「竹ってさ、台風が来てもしなやかじゃない。台風にも負けないんだよ。雪が来てもね。おもいっきりそれを跳ね除ける力強さがあるんだよ。そう、みんな!!!竹になろう!!!バンブー!!!

ぼやけた意識の中、蜃気楼のように目の前に現れた存在。
そのビジュアル、その言葉の意味不明な熱苦しさたるや、まるで松岡○造のような仏がそこにいたのだ。髪型も螺髪のようだが、まるで上昇気流のように逆立っていた。

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稲田ズイキ

いなだ・ずいき●僧侶。1992年京都の月仲山称名寺生まれで現・副住職。同志社大学を卒業、同大学院法学研究科を中退、その後デジタルエージェンシー企業インフォバーンに入社。2018年に独立し、寺に定住せず煩悩タップリな企画をやる「煩悩クリエイター」として活動中。コラム連載など、文筆業のかたわら、お寺ミュージカル映画祭「テ・ラ・ランド」や失恋浄化バー「失恋供養」、煩悩浄化トークイベント「煩悩ナイト」などリアルイベントを企画しています。フリースタイルな僧侶たちWeb編集長。Twitter @andymizuki
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竹内佐千子

たけうち・さちこ●漫画家。おっかけ対象が男子で恋愛対象が女子のレズビアン。
自身の恋愛体験を描いたコミックエッセイをはじめ、おっかけ、腐女子、などをテーマにしたコミックエッセイを描き続け、最近はストーリー漫画も描いている。
赤ちゃん本部長』(講談社)、『生きるために必要だから、イケメンに会いに行った。』(ぶんか社)など。
ホームページhttp://takeuchisachiko.jp/
Twitter @takeuchisachiko

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