よみタイ

佐藤誠二朗「グリズリー世代のバック・トゥ・ザ・ストリート」
グリズリー……それは北アメリカ北部に生息する大きな灰色のヒグマの名であると同時に、白髪交じりの頭を形容するスラング。頭にちらほら白いものが目立ち始める40~50代を、アラフォー、アラフィフといってしまえば簡単だけど、いくつになってもオシャレと音楽が大好きで遊び心を忘れない彼らを「グリズリー世代」と名付けよう――
そんな思いを胸に、自身もグリズリー世代真っ只中の著者がおくる、大人の男のためのファッション&カルチャーコラム。

バンコクで発見してしまった海賊版アーティストグッズを断罪する!

はじめにお断りしておくが、今回の品は、“買ったらいいよ、使ったらいいよ”と人におすすめするのではなく、“こんなモノがあっていいのだろうか”と問題提起するためにお見せするものである。

タイ・バンコクのとあるマーケットの屋台で売っていたポーチ。
ソニック・ユースが1990年にリリースした大名盤『Goo』のジャケットがプリントされている。

その屋台では、ほかにも様々なロックバンドデザインのポーチを、ダンボール箱にギチギチに詰めて販売していた。
一見して、(ああ、海賊版だな)とわかるチープさだ。
こういうことしちゃいかん!という義憤に駆られた僕は、証拠物件としてiPadを入れるのにちょうど良さそうなLサイズと、モバイルキーボードを入れるのにちょうど良さそうなMサイズを購入した。

すごくオシャレ……いや、悪しき海賊版ポーチを愛用……いや、使用実験中

1980年代以降の米オルタナロック界を牽引したソニック・ユース。
2メートル近い大男ながら、繊細で変則的なギターを奏でるサーストン・ムーアと、立ち上げ時のX-GIRLのデザイナーとしても知られる才女、キム・ゴードンの夫妻を中心に活動していたが、二人が破局した2011年に解散してしまった。

ソニック・ユースは、音とともにアートワークの素晴らしさが賞賛されたバンド。
特に、バンドとしての最盛期のリリースであり、グランジの先駆けともなったアルバム『Goo』のジャケットは高く評価された。

イラストは、ハードコアパンクバンド、ブラック・フラッグのギタリストであるグレッグ・ギンの実弟、レイモンド・ペティボーンの手によるもの。
描かれている二人は、1960年代にイギリスで起こった凄惨な連続猟奇殺人事件(ムーアズ殺人事件)の犯人の一人、マイラ・ヒンドレーの妹夫妻を描いたものだ。

…で、ですね。
こうした優れた作品を勝手にパクったこちらのポーチ、いくら売れても権利保有者の元には1円も回らないわけで、極めてよろしくない物件だと思うのです。
だから、買ってはいけません。

iPad用にと思ったのに、サイズがギリギリ小さくて入らないし。なんなんだ……。
本当によくない! 通報しますよ!

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佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『糖質制限の真実』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『STUSSY2017 FALL/HOLIDAY COLLECTION』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

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