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佐藤誠二朗「グリズリー世代のバック・トゥ・ザ・ストリート」
グリズリー……それは北アメリカ北部に生息する大きな灰色のヒグマの名であると同時に、白髪交じりの頭を形容するスラング。頭にちらほら白いものが目立ち始める40~50代を、アラフォー、アラフィフといってしまえば簡単だけど、いくつになってもオシャレと音楽が大好きで遊び心を忘れない彼らを「グリズリー世代」と名付けよう――
そんな思いを胸に、自身もグリズリー世代真っ只中の著者がおくる、大人の男のためのファッション&カルチャーコラム。

タバコ〜禁煙できないのは、人生の良き記憶とニコチンが結びついているから説

僕を含め、このご時世にまだタバコをやめられない人は、人生の良き記憶とニコチンが、脳内で強く結びついてしまっているのではないかと思うことがある。

僕が初めてタバコを吸ったのは中学生の頃だった。基本的にはまじめな生徒だったので常習犯ではなく、やんちゃ系の友だちから「ホレ」と渡されると、少し試してみるだけ。うまくもなんともなかった。

高校時代もたまにいたずらで吸う程度。授業をサボってRCサクセションの『トランジスタラジオ』を聴きながらふかしてみたものの、そのよさはわからなかった。ただ、「タバコの煙って本当に青いんだな」とは思ったけれど。

浪人時代、予備校の小論文の先生は反体制思想の人だった。ある日、その先生がタバコについて語りだした。長い話だったが要約すると、タバコを忌み嫌うのは深い思索をしたことがないノータリン。味のある大人になるために、みんなしっかりタバコを吸いなさい。
……いま考えたらとんでもない教えだが、僕がタバコのうまさを覚えたのもその頃だった。

大学生になった後は、足繁くライブハウスやクラブに通うようになった。好きなバンドやDJが奏でる爆音とタバコ臭い空気が、何とも言えない居心地の良さと幸福感をもたらしてくれた。そんなこんなで、すっかり喫煙が習慣になってしまった。

ニューアイテムの投入で、いよいよニコチン絶ちができるのか?

といっても普通のタバコとはだいぶ前に縁を切り、ずっとアイコスを愛用している。
そして昨年から、僕のスモーキンライフに新たなアイテムが加わった。
ベイプである。専用の機械にフレーバー付きリキッドを充填し、加熱して発生させた水蒸気を吸うシステム。水蒸気を吸うというのはアイコスなど加熱式タバコと同じだ。

日本での普及率は高くないが、欧米諸国では若者を中心にベイプ愛用者が多く、機械もリキッドも種類が充実している。国内ではニコチン入りリキッドが薬事法に引っかかるので、簡単に手に入れられるのはフレーバーのみのもの。要するに、ジュースを水蒸気にして吸い込み、ほのかな味と香りを愉しむのである。

そしてベイプ最大の売りは“爆煙”。機械の設定次第で、普通のタバコやアイコスではあり得ないような量の煙(ではなく水蒸気なのだが)を発生させることができる。濃い煙をモクモクと吐き出すのがカッコよく、そして快感なのである。

僕が愛用しているリキッドにはニコチンが入っていないので、タバコ本来の満足感が得られるわけではない。だからいまのところアイコスとの併用だ。でもいずれはアイコスも絶ち、ベイプのみにしようと思っている。いよいよニコチンとはおさらばだ。
と言い続けて、もうすぐ1年経つのだが。

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佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『糖質制限の真実』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『STUSSY2017 FALL/HOLIDAY COLLECTION』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

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