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佐藤誠二朗「グリズリー世代のバック・トゥ・ザ・ストリート」
グリズリー……それは北アメリカ北部に生息する大きな灰色のヒグマの名であると同時に、白髪交じりの頭を形容するスラング。頭にちらほら白いものが目立ち始める40~50代を、アラフォー、アラフィフといってしまえば簡単だけど、いくつになってもオシャレと音楽が大好きで遊び心を忘れない彼らを「グリズリー世代」と名付けよう――
そんな思いを胸に、自身もグリズリー世代真っ只中の著者がおくる、大人の男のためのファッション&カルチャーコラム。

ウッドストック50周年なのに、なぜみんな知ら〜ん顔してるの⁉︎

今年は1969年から数えて50年。
全共闘に占拠された東大安田講堂が陥落したり、ローリング・ストーンズのブライアン・ジョーンズが死んじゃったり、シャロン・テートがチャールズ・マンソン一味に惨殺されたり、新宿駅西口広場を全学連系学生が占拠したり、僕が生まれたり……。
本当にいろんなことがあった1969年だけど、特に注目すべきは有人アポロの月面着陸、そしてウッドストックフェスティバルだろう。

アポロ月面着陸についてはまた改めて。今回俎上に乗せたいのはウッドストックについてだ。

1969年8月15日から18日にかけての4日間、延べ40万人の観客を集めて行われたヒッピーたちの“ラブ&ピース”の祭典ウッドストック(正式名称=ウッドストック・ミュージック・アンド・アート・フェスティバル)は、その後の若者カルチャーに多大な影響を与えた超ビッグイベントだった。

今年(2019年)の夏には50周年を記念して、オリジナルに負けないほどの規模で「Woodstock 50」が開催される予定だった。
ところがなんと、今年4月に中止のアナウンスがあったのだ。

ウッドストック50周年記念イベントが中止に追い込まれてしまった理由とは

主催者曰く“当フェスティバルがウッドストックのブランドにふさわしいイベントとして実行できるとは考えられず……”というのがその理由。

確定していた出演者を見ると、ヘッドライナーはザ・キラーズ、イマジン・ドラゴンズ、ホールジー、そしてジェイ・Z。もちろん悪くないメンツだけど、確かにあのウッドストック50周年イベントとしては寂しいと言わざるをえない。
オリジナルである1969年のウッドストックには、ザ・フー、ジミ・ヘンドリックス、ジャニス・ジョプリン、サンタナ、グレイトフル・デッド、ジェファーソン・エアプレイン、スライ・アンド・ザ・ファミリーストーンなどなど、当時の若者のカリスマであり、いまもその名が知れ渡る、華々しくも伝説的なメンツがこぞって出演していたのだ。

実は「Woodstock 50」、発表当初から厳しいスタートを切っていたと伝えられる。ニューヨーク州北部で開催予定の2つのロックイベントと日程が重なっていたからだ。

1969年のウッドストックがビッグバンとなり、その後、ロックはどんどん巨大ビジネスとなっていった。
その結果、ウッドストックのような一極集中の華々しいフェスティバルなど、いまの時代では開催不可能だ。皮肉にもそれを、ウッドストック自身が証明してしまったのだ。

直接観たわけでもない僕ら世代でも伝説として知っている、1969年のウッドストックのような興奮は、もはやタイムマシーンでもなければ体験できないのだろうか。

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佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『糖質制限の真実』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『STUSSY2017 FALL/HOLIDAY COLLECTION』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

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