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佐藤誠二朗「グリズリー世代のバック・トゥ・ザ・ストリート」
グリズリー……それは北アメリカ北部に生息する大きな灰色のヒグマの名であると同時に、白髪交じりの頭を形容するスラング。頭にちらほら白いものが目立ち始める40~50代を、アラフォー、アラフィフといってしまえば簡単だけど、いくつになってもオシャレと音楽が大好きで遊び心を忘れない彼らを「グリズリー世代」と名付けよう――
そんな思いを胸に、自身もグリズリー世代真っ只中の著者がおくる、大人の男のためのファッション&カルチャーコラム。

パラコードブレス〜身につけて安心な手作りサバイバルアクセ

小学生のころ、「女子って放課後、何をしているんだろう?」と不思議に思っていた。
男子は野球をしたり、ザリガニや魚を釣ったり、カブトムシやクワガタを探したり、駄菓子屋に行ったり、友達の家でマンガを読んだりゲームをしたりと忙しかったけど、女子の行動は常に謎であり、神秘だった。

でも小学生女子の親になったいま、観察していると大したことをしていないことがよくわかる。
テニスの真似事をしたり、一輪車に乗ったり、逆立ちや側転の練習をしたり、犬をいじったり、ゲームをしたり、ピアノを弾いたり、ダンボールで秘密基地を作ったり、スライムを作ったり、ミサンガを編んだり。
まったく神秘的じゃない。

特にうちの子はスライムとミサンガづくりに異常な情熱を傾けている。
家には、いつ何に使うのかわからない大量のスライムがある。
そして僕の左腕と飼い犬の首には、それぞれ2本ずつ手作りミサンガが結びつけられているのだ。

子供がミサンガを編んでいるのを見ていると、自分もちょっと何かつくりたくなってきた。でも50絡みのおっさんがミサンガを編むわけにはいかねえ。もっと何か、男らしくてかっこいいものはないかなと考え、いいことを思いついた。
パラコードだ。

パラコードとは“パラシュートコード”の略で、第二次世界大戦中にパラシュートのラインとして開発されて以降、軍用のみならずアウトドアやファッションシーンで幅広く使用されている、耐久性の高いナイロンひものこと。
キャンプや登山のときに使うのが本来の用途に近いけど、パラコードの注目すべき点は、結んだり編んだりして様々な小物やアクセサリーを作れること。
もともと軍用アイテムだから、これでつくったアイテムは無骨でかっこいいのだ。

よく見られるのはウォレットコードやキーホルダー、犬の首輪、リードなど。時計のバンドやちょっとしたポーチ、サバゲーマニアは銃をぶら下げるためのスリングをつくったりもする。

映画を真似してつくったブレスは、常に身につけておきたいほどかっこよかった

パラコードで編んだ小物は、サバイバルグッズであるという側面も持っている。力を込めてぎゅっと固く編みこむのでコンパクトになるが、一本のひもを切らずに編み上げているから、いざというときには数メートルの長さに戻すことができる。
「ヤバい、ひもがない! ひもさえあれば命が助かるのに! 誰かひもを!」という日常のよくあるシーンで、たいへん役にたつのだ。

さっそくアマゾンでパラコードを買った僕は、ブレスレットをつくることにした。2015年に公開されたオーストラリア・アメリカの合作映画「マッドマックス 怒りのデスロード」でトム・ハーディ演じる主人公のマックスが腕につけていたブレスがお手本だ。

27年ぶりに制作されたシリーズ第4作目である「マッドマックス 怒りのデスロード」はいい映画だった。これまでのシリーズと同様、前半10分で基本設定と世界観さえ理解すれば、あとはただひたすらド派手なカーアクションとバトルシーンを楽しめばいいという単純さは、ちょっと頭が疲れているとき観るのにちょうどいい。
相変わらずバカバカしいほどおどろおどろしい、登場人物の世紀末ファッションもよかった。

もともと1979年に第1作目が公開された「マッドマックス」は、ストリートスタイルとゆかりの深い映画。登場する悪役の露悪趣味的な衣装を、1980年代のハードコアパンクスやメタルヘッズ(ヘヴィメタルファン)は、ファッションの参考にしたといわれている。

そんな伝説的映画の続編に登場するパラコードのサバイバルブレス、真似するしかないでしょ!
ネットの動画などを参考に、チマチマとつくってみた。作り方は非常に簡単で、10分足らずで完成した。

あいている右腕につけてみる。う〜ん、かっこいい。

いざとなったら280kgの負荷に耐える、約3メートルのタフなひもに戻すことができるのだと考えただけでゾクゾクする。
いつも身につけておけば、いつかきっと役に立つはずだ。

たとえば核戦争で荒廃してしまった世界で生き延びるときなんかに。

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佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『糖質制限の真実』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『STUSSY2017 FALL/HOLIDAY COLLECTION』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

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