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佐藤誠二朗「グリズリー世代のバック・トゥ・ザ・ストリート」
グリズリー……それは北アメリカ北部に生息する大きな灰色のヒグマの名であると同時に、白髪交じりの頭を形容するスラング。頭にちらほら白いものが目立ち始める40~50代を、アラフォー、アラフィフといってしまえば簡単だけど、いくつになってもオシャレと音楽が大好きで遊び心を忘れない彼らを「グリズリー世代」と名付けよう――
そんな思いを胸に、自身もグリズリー世代真っ只中の著者がおくる、大人の男のためのファッション&カルチャーコラム。

ロマンあふれる大人の男の道具〜オイルライター、シガレットケース、スキットル

喫煙や飲酒の道具にはロマンがある。
かつて大人になりかけの蒼き日――高校生くらいの頃に、映画とかで見て憧れた大人の象徴三大アイテムがあった。

オイルライター、シガレットケース、そしてスキットルだ。
20歳になったら、ひとつずつ攻略していこうと思っていた。

でも最初にあきらめたのはスキットル。
なんと僕は下戸だったのだ。スキットルを常に携帯するような体質には生まれついていなかった。

タバコは好きだったので、オイルライターを買うことにした。その頃の大学生が100円ライターを卒業すると、まず狙うのはジッポだった。ジッポは確かにかっこいい。カチンと開けてシュボッとつける一連の動作は、慣れるとすごくサマになる。
でも僕は微妙にひねくれていたので、みんなが使っているジッポは嫌だった。誰も持っていないライターを使いたいと思ったのだ。

お金はないので、手頃な価格でかっこいいライターないかと探し、見つけたのがオーストリアのメーカー、イムコ社のトリプレックススーパーというものだった。
我ながらいいセンスだったと思う。すごく気に入って長く使っていたのだが、ライターというのは基本的になくすもの。いつの間にかなくしてしまい、それきりだった。

30年越しの念願だったシガレットケースをついに買った!

シガレットケースは、イムコのライターを買ったのと同じ頃、新宿の紀伊国屋書店ビルの中にある喫煙具店で1時間くらい悩んだ末、結局買わなかった。
なんだか考えれば考えるほど、おっさんくさく思えてきたからだ。もう少し歳をとって、似合うようになってから使おうと思った。

それから30年が経過したいま。
火をつけるタバコはだいぶ前にやめて、アイコス派になった。
いよいよシガレットケースが似合う歳になったのに、タバコは吸わないからなあ……と思って、ハッと気づいた。
もしかしたらアイコス用のかっこいいシガレットケースって、あるんじゃない?

さっそく検索してみると、ありました! それも喫煙具の老舗、日本が誇る下町ロケット的な町工場メーカーである坪田パールが、アイコス用シガレットケースをたくさんつくっていたのだ。
ついに30年越しの念願、シガレットケースデビューを果たした。大いに自己満足の世界だけど、めちゃくちゃ気に入っている。

ついでに、青春の思い出であるイムコのトリプレックススーパーももう一度買ってみた。
このライターはジッポと並ぶオイルライターの元祖のようなもの。2012年に本国のイムコ社は倒産したが、日本のメーカーがライセンスを引き継ぎ、当時と変わらぬ姿のまま製造しているという。
アイコスには不要だけど、お香や蚊取り線香、花火をつけるときに使うのだ!

こうなったらついでに、スキットルも買っちゃおうかな。
相変わらず下戸だしコーヒーさえ飲まないけど、麦茶やカルピスでも入れるのだ! 
……いや、これ以上の無駄遣いはやめよう。

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佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『糖質制限の真実』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『STUSSY2017 FALL/HOLIDAY COLLECTION』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

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