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佐藤誠二朗「グリズリー世代のバック・トゥ・ザ・ストリート」
グリズリー……それは北アメリカ北部に生息する大きな灰色のヒグマの名であると同時に、白髪交じりの頭を形容するスラング。頭にちらほら白いものが目立ち始める40~50代を、アラフォー、アラフィフといってしまえば簡単だけど、いくつになってもオシャレと音楽が大好きで遊び心を忘れない彼らを「グリズリー世代」と名付けよう――
そんな思いを胸に、自身もグリズリー世代真っ只中の著者がおくる、大人の男のためのファッション&カルチャーコラム。

ショートソックスは靴下の歴史を塗り替えるほどのイノベーションだった

高校生の頃、マンガの登場人物もファッションの参考にしていた。よくチェックしていたのは、『バタアシ金魚』の花井薫、『風呂上がりの夜空に』の松井辰吉、そして『TO-Y』の藤井冬威の服装だ。
特にトーイの着こなしはかっこよかった。パンクバンド出身のミュージシャンながら、パンクファッションではなく、シンプルな服装が多かったトーイ。

あるとき、トーイの靴の履き方を研究していて気がついた。白のキャンバスデッキシューズを、いつも素足で履いているのだ。
こりゃかっこいいなと思った僕は、さっそくその日から、真似することにした。

結果は想像の通りです。
最初はその匂いの発生源が分からず、「なんだか臭いぞ? 誰だ?」と訝しんだ。でもすぐにそれは自分の足であり、原因は靴下なしでスニーカーを履いていたことだと気づいた。
「なんだよ、素足スニーカーって無理じゃん。トーイめ!」と恨みつつ、急いでスニーカーをじゃぶじゃぶ洗い、そののちはまたきちんと靴下を履くようにした。

スニーカーブームとともに現れたショートソックス。おすすめは大手SPAブランド

それから数年後、1990年代のスニーカーブームの頃になると、短パンに素足でスニーカーを履くスタイルが流行りはじめた。
「おやおや、臭くなるのも知らないで……」と冷ややかな目で眺めていた僕は、その頃、日本のメーカーによってある靴下が開発されていたことを知らなかった。
そう、ショートソックス(アンクルソックスやインソックス、スニーカーソックスとも)だ。その靴下を初めて見たとき、僕はかなり興奮した。

今は完全にメジャーな存在なので説明することもないだろうが、靴の中に隠れるほど短く、裸足のように見えるショートソックスのおかげで、裸足スニーカー悪臭問題は完全に解決した。これ、ものすごくイノベーティブなことだと思う。

基本的に、見えないように履くものなのでブランドにこだわる必要はないように思えるが、僕が買うのは大手のスポーツメーカーかユニクロ、無印良品などのものと決めている。なぜなら、作りが優秀だから。

ショートソックスは単純なようで、なかなか難しいアイテムだ。適当なものを買うと、歩いているうちに靴の中でかかとが脱げてきて、実に気持ち悪い。
その点、大手スポーツメーカーや国内SPAブランドのものは、かかとの内側にゴムを仕込んでいたり絶妙の角度をつけていたりと、よく考えられていて安心だ。

靴下界の常識を打ち破ったショートソックスの開発者に、改めて敬意を表したいと思います。

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佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『糖質制限の真実』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『STUSSY2017 FALL/HOLIDAY COLLECTION』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

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