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佐藤誠二朗「グリズリー世代のバック・トゥ・ザ・ストリート」
グリズリー……それは北アメリカ北部に生息する大きな灰色のヒグマの名であると同時に、白髪交じりの頭を形容するスラング。頭にちらほら白いものが目立ち始める40~50代を、アラフォー、アラフィフといってしまえば簡単だけど、いくつになってもオシャレと音楽が大好きで遊び心を忘れない彼らを「グリズリー世代」と名付けよう――
そんな思いを胸に、自身もグリズリー世代真っ只中の著者がおくる、大人の男のためのファッション&カルチャーコラム。

缶バッジ〜大人の男にはなじみにくいアイテムを敢えて使うオシャレ作戦

グリズリー世代の大人の男で、缶バッジが好きな人はそう多くないだろう。僕も昔買った缶バッジをいろいろ持ってはいるが、さすがに最近は登場の機会が減っている。

でもたまに思い出して、シンプルなバッグや革ジャン、ニット、それにジャケットの胸元なんかにさりげなくつけてみると意外にオシャレだし、ストリート気分が盛り上がる。

ちょっと缶バッジの歴史を調べてみた。

現在の形状の缶バッジができ上がったのは、1896年のアメリカ。当初は商品広告や選挙キャンペーン、それに兵士の戦意発揚などの目的で使用されたという。

ストリートスタイルとしての缶バッジの原点は「反戦」の意思表示

ストリートスタイルとして缶バッジを初めて採用したのは、1950〜60年代の若者だ。1950年代末に盛り上がったイギリスの反核運動CND(Campaign for Nuclear Disarmament)の参加者、そして1960年代後半にアメリカから世界中の若者に広まったヒッピーは、CNDのロゴから発展したピースマークの缶バッジをファッションに取り入れた。

その後、1970年代のイギリスでグラムロック、ハードロック、そしてパンクムーブメントが起こると、バンドの缶バッチが大量に出回るようになった。このとき、バッジの製造に力を入れたある会社が採用したサイズが1インチ(25ミリ)だったため、その後現在に至るまで、ロックバンド系缶バッジでは25ミリが標準になったという。

缶バッジは何らかの意思や主張のアピールを目的として生まれ、発展したもの。そのルーツを尊重するならば、何かの意味を含んだものが断然かっこいいと思う。
今度スーツを着る機会があったら、胸にパンクバンドCRASSの「反戦」バッジを付け、周囲の人を少しギョッとさせてみようかな。

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佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『糖質制限の真実』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『STUSSY2017 FALL/HOLIDAY COLLECTION』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

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