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佐藤誠二朗「グリズリー世代のバック・トゥ・ザ・ストリート」
グリズリー……それは北アメリカ北部に生息する大きな灰色のヒグマの名であると同時に、白髪交じりの頭を形容するスラング。頭にちらほら白いものが目立ち始める40~50代を、アラフォー、アラフィフといってしまえば簡単だけど、いくつになってもオシャレと音楽が大好きで遊び心を忘れない彼らを「グリズリー世代」と名付けよう――
そんな思いを胸に、自身もグリズリー世代真っ只中の著者がおくる、大人の男のためのファッション&カルチャーコラム。

スカル柄こそ典型的なアンチファッション。女ウケなんて気にするな!

僕の記憶と情報が確かなら、女性ウケの悪いメンズファッションとして、和柄やアニメ柄などと並び、スカル柄は常に上位に挙げられてきた。

ドクロが許されるのは中二まで
妙にイキッた感じでダサい
スカル柄の人と並んで歩きたくない
……女性からの評判はかくも散々である。

ああ上等だよ! こっちだってモテようと思って着てんじゃねえし!!
そう、僕の衣装ケースの中にはスカルTシャツが結構ある。
なぜならパンクやハードコア好きだから、勢い、スカル柄のバンドTシャツが増えていくのだ。同様にメタルやゴスなんかが好きな人のクローゼットにも、スカル柄が大量にあるのではないかと思う。

でもスカル柄ってやっぱかっこよくない? なんでダメなの? と思ってしまう。
今年50になる身だが。

ナチスの“悪”イメージを借り、不良ストリートスタイルとして定着

スカルモチーフが使われはじめたのはいつ頃からか。
西洋では古くから、ドクロは死の象徴というイメージとともに、人間の不完全性、それに対するや神の永遠性・絶対性などを指すものとされ、海賊旗や軍隊の徽章に用いられてきた。

現代のストリートスタイルに直接リンクするのは、おそらくナチスのコスチュームだ。18世紀から20世紀初頭にかけてプロイセン王国軍の騎兵隊が用いた、交差する骨の上に少し横向きの頭蓋骨を置いた“トーテンコップ”という徽章のデザインを、ナチスの親衛隊が採用した。

ナチスの非道さは国際的な非難を受けたが、戦後に登場したアメリカのバイカーズやイギリスのロッカーズといった若者不良集団は、ナチスの“悪”のイメージを借用し、自分たちに箔をつけようとした。その際、盛んに用いられたのが、ナチスのシンボルだったトーテンコップだったのだ。

その後、バイカーズ、ロッカーズから現代のロック系ストリートスタイルまで続く長い道のりについては、拙著『ストリート・トラッド』をご覧いただきたい。

つまり、スカル柄は確かにイメージが悪いかもしれないけど、そこを逆手に取ったアンチファッションの典型なんだから、イキってなんぼの世界なのだ。
それこそ色気づいた中学生みたいに、なんでも“モテる、モテない”で決めようとする方が気持ち悪いんじゃ! ナメンナヨ! ふーっ‼︎

まあ、意外とこれでモテたらもうけもんだけど。

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佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『糖質制限の真実』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『STUSSY2017 FALL/HOLIDAY COLLECTION』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

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