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佐藤誠二朗「グリズリー世代のバック・トゥ・ザ・ストリート」
グリズリー……それは北アメリカ北部に生息する大きな灰色のヒグマの名であると同時に、白髪交じりの頭を形容するスラング。頭にちらほら白いものが目立ち始める40~50代を、アラフォー、アラフィフといってしまえば簡単だけど、いくつになってもオシャレと音楽が大好きで遊び心を忘れない彼らを「グリズリー世代」と名付けよう――
そんな思いを胸に、自身もグリズリー世代真っ只中の著者がおくる、大人の男のためのファッション&カルチャーコラム。

財布~キャッシュレス社会の進行で、財布は必要不可欠なものではなくなった

十数年前だったか、「風水的にいい」とかなんとかで男の長財布が流行った。
なんか知らんけど、長い財布を持っていると金運が上がり、その上かっこいいという風潮になったのだ。
なんやかんや言って、僕はそういうものにけっこう流される男でもある。
買いましたとも、長財布。それもプラダで。まぁ張り切って。

でも1年も使わなかった。腹立たしいほどジャマだったのだ。
カジュアルスタイルのときは、ケツポケットから長財布を半分はみ出させるのがかっこいいと言う輩もいたけど、田舎臭いセンスだなあと思った。

二つ折りに転向してブルガリ、次はルイ・ヴィトンの財布を使った。
でも使用期間はそれぞれ1年未満。
自分が持つ財布じゃないような気がして、落ち着かなかったのだ。
ストリートおじさんを自認するなら、財布まできっちりストリートらしくするべきなのだ。
大人たるもの、財布くらい高級メゾンのものを持て、という世間からの見えないプレッシャーのようなものを、僕は無視することにした。

はじめたらやめられなくなる快適なマネークリップ生活

次は、使えば使うほど経年変化でかっこよくなるというヌメ革製の財布を買った。ホワイトハウスコックスのセカンドライン、セトラーというブランドのものだ。
まあまあ気に入って2年以上使ったが、その頃から日々の買い物をなるべくキャッシュレスで済ますようになり、そもそも財布の必要性を疑うようになった。

もしかしたら、憧れのマネークリップ生活ができるかもしれないと思い、ブラス製のS字形両面タイプのマネークリップを買った。片面にカード、もう片面に紙幣を挟む構造だ。
でも挟む力が強すぎて、カードが少しずつ傷みはじめたので使うのをやめた。

そして次に買ったのがthe RIDGEという代物。2枚の金属プレートとゴムバンドで構成されたカードホルダー兼マネークリップだ。
これはよかった。
ここ数年、ずっとこれを使っている。
現金でしか払えない場面で発生したお釣りの小銭は一時的にポケットに入れておき、家に貯めるようにしている。

ただ、旅行や出張などに行くときは、コム・デ・ギャルソンで買った小さな財布を持っていく。旅先ではその日に発生した小銭を貯める場所がないし、領収書なども数日間分溜まってしまうからだ。

当分はthe RIDGEとギャルソンミニ財布の併用でいける感じがしている。

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佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『糖質制限の真実』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『STUSSY2017 FALL/HOLIDAY COLLECTION』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

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